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屋上劣化の防水機能の劣化症状とは?防水層を保護するシート防水の種類や耐用年数について

屋上には、防水機能が施されていますが、時間の経過とともに劣化していくものです。防水層の劣化は、屋上防水の性能を低下させ、雨漏りの原因となることがあります。特にシート防水やアスファルト防水・塗膜防水などの防水層は、紫外線や気候条件、物理的な損傷などによって劣化が進行します。

屋上は普段あまり目に触れない箇所であることから、劣化症状が出ていても発見が遅れることがあります。防水層のひび割れや浮き、膨れなどの症状が見られる場合、早急な対処が必要です。放置したままでいると、雨漏りの可能性もあるためかなり危険です。

そこでこの記事では屋上防水の危険な劣化症状とその原因、対処方法について解説していきます。ウレタン塗膜防水やコンクリート屋根のメンテナンス方法、耐用年数についても触れますので、ぜひ参考にしてみてください。

目次

屋上防水の危険な劣化症状

一般的な屋上防水の劣化症状について紹介します。

  • チョーキング現象
  • 防水層の摩耗
  • 防水層のひび割れ
  • 防水層の剥がれ・浮き
  • 防水層の膨れ
  • 水たまり
  • 雨漏り

それぞれどのような劣化症状なのか、詳しく解説していきましょう。

屋上防水の危険な劣化症状1.チョーキング現象

チョーキング現象は、防水層の表面が劣化し、微細な粒子や劣化物が発生する現象です。

これらの粒子は、通常の使用や風や雨によって除去されることがありますが、一部は防水層の表面にそのまま残ります。

白い粉をふいていることから、黒板などで使われるチョークになぞられてチョーキング現象と呼ばれています。

屋上防水の危険な劣化症状2.防水層の摩耗

防水の表面である防水層がかすれたように見える症状が塗膜の摩耗です。

防水層は本来、適切な厚さで施工されていますが、摩耗することによってその厚さが保たれていない場合があります。

防水層の厚さが十分でないと、ひび割れや剥離を引き起こす可能性があります。

屋上防水の危険な劣化症状3.防水層のひび割れ

防水層のひび割れは、防水層が収縮や膨張、物理的な応力によって破壊されることで生じる劣化症状です。

ひび割れは、細かいクラックから大きな亀裂まで、さまざまな形状やサイズで現れることがあります。

ひび割れを放置したままでいると、防水性能が損なわれる場合があるので危険です。

屋上防水の危険な劣化症状4.防水層の剥がれ・浮き

防水層の剥がれは、塗膜と基材の間に空気や水分が侵入し、接着力が低下することで生じる症状です。

防水層の浮きは、塗膜が基材から剥がれたり、泡状に膨らんだりすることで防水層の表面に現れます。

放置しておくと、防水機能の低下や外観の美しさまでもが損なわれます。

屋上防水の危険な劣化症状5.防水層の膨れ

防水層の膨れは、シート防水が施されている場合に見られる劣化症状です。

シート内部に水蒸気が溜まり、シートが膨らんでいる状態になります。

膨れたまま放置しておくと、後に破裂してしまうので絶対に放置はやめましょう。

屋上防水の危険な劣化症状6.水たまり

防水層が劣化して凹凸ができると、雨が降った後に水たまりができることがあります。

放置したままでいると、カビやコケの発生やボウフラなどの虫が発生する恐れがあるので、水たまりができていたら早めに対処しましょう。

屋上防水の危険な劣化症状7.雨漏り

防水層の亀裂部分から雨水が侵入し、雨漏りが発生することがあります。

雨漏りの発生は、建物内部に多大な影響を及ぼすので、早期発見、早期対処が重要です。

屋上防水が劣化する原因

屋上防水の劣化は、さまざまな要因によって引き起こされる可能性があります。

主な原因は以下の通りです。

  • 気候条件
  • 熱による膨張と収縮
  • 不適切な施工
  • 物理的な損傷
  • 経年劣化

それぞれの原因ついて、詳しく解説していきます。

気候条件による屋上防水の劣化

屋上は直接的に気候条件にさらされるため、太陽光、紫外線、雨水、風、雪などの要素によって防水材料が劣化することがあります。

ただし、地域によって発生する気候条件は異なります。

熱による屋上防水の膨張と収縮で劣化

屋上は、温度変化によって熱膨張と収縮を繰り返します。

熱膨張と収縮の繰り返しによって、防水材料や接合部が応力を受け、劣化やひび割れが生じる可能性があるのです。

屋上防水の劣化を早める不適切な施工

防水材料の施工過程での不備や欠陥がある場合、防水層の劣化が早まることがあります。

不適切な下地処理、塗装材料や接着剤、シーリング剤の誤った使用がその一例です。

物理的な屋上防水の損傷による劣化

屋上での人の歩行や物体の移動、建設作業などによって、防水層が損傷することがあります。

例えば、キズや切り傷、穴が開いたり、防水層が剥がれたりすることが考えられるでしょう。

屋上防水の経年劣化

屋上防水に使用される防水材料は、メーカーなどで耐用年数が定められています。

例えば、耐用年数が10年と定められている場合、10年間は防水効果が持続するということです。

ただし、気候条件をはじめとした上記の諸条件によって耐用年数が変化することがあります。

屋上防水の種類と劣化への耐用年数

屋上防止に使用される防水材料は、一般的にウレタン塗膜防水・シート防水・アスファルト防水・frp防水の4つが使用されています。

耐用年数を以下の目安を表にまとめて比較していきます。

気候条件などの諸条件によって、耐用年数は前後すると考えておいた方が良いでしょう。

各屋上防水の耐用年数に応じて、施工計画を立てることをおすすめします。

屋上防水の種類耐用年数
ウレタン塗膜防水約8年〜10年
シート防水約10年〜15年
アスファルト防水約15年〜20年
FRP防水約10年〜13年

屋上防水の種類と劣化への耐用年数1.ウレタン塗膜防水とは

ウレタン塗膜防水は、屋上の防水工事で広く使用される方法です。液状のウレタン樹脂を塗布し、空気中の水分と反応して硬化させます。伸縮性が高く、亀裂に強いのが特徴です。耐候性や耐久性に優れ、複雑な形状にも対応できます。施工が比較的容易で、既存の防水層の上からも塗布可能です。ただし、紫外線による劣化に注意が必要です。耐用年数は約8年〜10年です。

屋上防水の種類と劣化への耐用年数2.シート防水とは

シート防水は、合成ゴムや塩化ビニル製の防水シートを屋上に敷設する工法です。シートを接着剤や機械的固定で設置し、継ぎ目を熱溶着や接着剤で密閉します。耐久性が高く、施工が比較的速いのが特徴です。均一な厚みで確実な防水層を形成でき、紫外線にも強いです。ただし、複雑な形状への対応が難しく、下地の平滑性が重要です。耐用年数は約10年〜15年です。

屋上防水の種類と劣化への耐用年数3.アスファルト防水

アスファルト防水は、液状にしたアスファルトと防水シートを交互に重ねる工法です。高い防水性能と耐久性が特徴で、長年使用されてきました。複数層を形成するため、信頼性が高く、亀裂にも強いです。重量があるため構造的な強度も増します。ただし、施工に熟練技術が必要で、夏場の熱による軟化や冬場の硬化による亀裂に注意が必要です。耐用年数は約15年〜20年です。

屋上防水の種類と劣化への耐用年数4.FRP防水

FRP防水は、ガラス繊維と樹脂を組み合わせた複合材料を使用する工法です。現場で樹脂を塗布しガラス繊維を重ね合わせて硬化させます。高い強度と柔軟性を持ち、複雑な形状にも対応可能です。耐久性、耐候性に優れ、軽量です。ただし、施工時の温度や湿度管理が重要で、専門的な技術が必要です。また、紫外線による劣化に注意が必要です。耐用年数は約10年〜13年です。

屋上防水の劣化症状に適した対処方法

ここでは、屋上防水の劣化症状に適した一般的な対処方法について解説します。

 防水工法の種類 劣化サイン 対処方法
ウレタン塗膜防水・防水層の剥がれ
・チョーキング現象
・防水層のひび割れ
・トップコートの再塗装
・防水層の塗り替え
・かぶせ工法
シート防水・シートの破れ
・シートの穴あき
・つなぎ目の劣化
・シートの膨れ
・水たまり
・熱融着
・脱気筒の設置
・パッチ補修
・密着工法
・機械的固定工法
アスファルト防水・防水層の砂落ち
・重ね部の口開き
・撤去法
・非撤去法
・全面改修工事
FRP防水・防水層のひび割れ
・防水層の色あせ
・防水層の浮き、剥がれ
・トップコートの再塗装
・防水層の貼り替え

それぞれの対処方法について、詳しく解説していきます。

屋上防水のトップコート再塗装で劣化から守る

トップコートとは、防水層の表面をコーティングして防水機能を保つ役割があります。

このトップコートは、常にさらされている状態であるため、年月の経過とともに劣化していきます。

トップコートの再塗装は、定期的に行うことが推奨されていますが、5年ごとに行うのがベストなタイミングです。

部分補修で屋上防水の狭い劣化範囲をカバー

劣化の範囲が小さい場合には、部分補修で対処が可能です。

例えば、屋上でバーベキューをやっていて、うっかり屋上の床を焦がしてしまったケースなどに適しています。

焦げてしまった部分の下地から修復をし直して、改めて防水層を作る方法です。

部分補修の方法は、熱融着、脱気筒の設置、パッチ補修の3種類があります。

ウレタン防水の密着工法は、ウレタン防水材料を屋上や建物の基礎などの表面に密着させる方法です。

屋上防水の劣化を低コストで抑制できる密着工法

屋上防水が施されている下地の状態が良い場合に適しています。

軽量であるため建物に負担をかけず、施工コストも安いのが特徴です。

通気緩衝工法で屋上防水の劣化を早める変化を緩和

ウレタン防水の通気緩衝工法は、絶縁工法とも呼ばれています。

ウレタン防水層の下に通気緩衝シートを張り付け、その上にウレタン防水材を塗布していきます。

ウレタン防水層の下に通気層を設けることで、建物内外の温度差や湿度変化による影響を緩和する方法です。

かぶせ工法で劣化のある屋上防水を手早く更新

ウレタン防水のかぶせ工法は、既存の防水層の上に新しいウレタン防水層を被せる方法です。

立上り防水層やドレン廻りの防水層を撤去せずに更新することができます。

既存の防水層を取り除く必要がないため、作業時間とコストを節約できることがメリットです。

屋上防水の劣化抑制機能を長持ちさせるコツ

屋根の防水シートと同様に、屋上防水の機能は工夫次第で長持ちさせることが可能です。

以下では、屋上防水機能を長持ちさせるコツを紹介します。

  • 定期的な点検とメンテナンス
  • 損傷箇所を早急に修繕する
  • 防水層の再塗装や補強
  • 排水設備の清掃
  • 屋上の利用方法を見直す

これらのコツを守ることで、屋上防水の機能を長持ちさせることが可能です。

以下で詳しく解説します。

屋上防水は定期的な点検とメンテナンスで劣化を抑える

定期的な点検を行い、劣化の兆候や損傷箇所を早期に発見します。

点検する際には、屋上全体を視覚的にチェックし、ひび割れ、浮き、剥がれ、穴などの症状を確認します。

必要に応じて、専門家による詳細な点検を依頼することも大切です。

劣化につながる屋上防水の損傷箇所は早急に修繕する

 劣化や損傷が見つかった場合は、早急に修繕を行うことが重要です。

修繕には、適切な修復材料や補修剤を使用して補修する方法があります。

分からない場合は、業者に連絡して早急に対処してもらいましょう。

屋上防水層の再塗装や補強で劣化防止

防水層が劣化している場合は、再塗装や補強を検討しなければなりません。

新しい防水塗料を使用することで、防水性能を回復させることが可能です。

また、必要に応じて補強材料を追加することも考慮されます。

業者に依頼する際には、補強材料が必要になるかどうかを確認することが大切です。

屋上防水の排水設備は劣化防止のため清掃

ドレンや排水口など、屋上の排水設備を定期的に清掃し、詰まりや漏水を防止します。

また、排水口の周りに堆積物が溜まらないように注意することも大切です。

屋上の劣化を見据えた利用方法の見直し

屋上を貯蔵庫や駐車場として使用する場合は、重量制限や荷重分散などに注意する必要があります。

また、屋上に設置された機器や家具などで防水層を傷つけないように注意することも重要です。

防水工事でよくある質問

Q

防水工事の種類にはどんなものがありますか?

A

主な防水工事の種類には、ウレタン防水、シート防水、アスファルト防水、FRP防水などがあります。それぞれの工法にはメリットとデメリットがあり、適した場所や耐用年数も異なります。

Q

防水工事の費用はどのくらいかかりますか?

A

工法や使用する材料、建物の状態によって異なりますが、一般的には1㎡あたり4,000円〜7,000円程度が相場です。

Q

工事の期間はどのくらいかかりますか?

A

工法や天候、建物の規模によりますが、通常は数日〜1週間程度で完了することが多いです。

Q

工事中の生活にどんな影響がありますか?

A

騒音や臭気が発生することがありますが、できるだけ負担を軽減するよう配慮しております。また、バルコニーや屋上の使用が一時的に制限されることがあります。

Q

防水工事のタイミングはいつが良いですか?

A

一般的には10年〜15年ごとに定期的なメンテナンスが推奨されています。また、ひび割れや雨漏りが発生した場合は早急に工事を行うことが重要です。

屋上防水の劣化症状まとめ

ここまで、屋上防水の危険な劣化症状について解説してきました。

劣化症状には、軽微なものから重度のものまであり、それぞれで対処方法は異なります。

また、気候条件や不適切な施工などが、劣化症状を引き起こす要因です。

最後に、屋上の防水機能を長持ちさせるコツを紹介しました。

適切な対処方法によって、今まで通りの屋上の姿を保つことができるでしょう。

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