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鉄筋コンクリート(RC)造屋上防水工事にかかる金額や工法とは?施工の流れも解説

鉄筋コンクリート(RC)造の建物において、屋上防水工事は長期的な建物の耐久性を保つために欠かせないメンテナンスです。防水機能が低下すると、雨漏りやコンクリートの劣化が進行し、修繕費用が増大する恐れがありますので、RC造の大規模修繕においても、重要な項目になります。


本記事では、RC造の屋上防水工事に関する金額の目安や、主な防水工法の種類について詳しく解説します。
また、施工の流れについてもご紹介し、どのような手順で工事が進むのかを理解していただける内容となっています。
防水工事を検討している管理者の方や、どの工法が適しているのか判断に迷っている方に向けて、費用対効果の高い選択ができるよう、ポイントを押さえた情報をお届けします。
さらに屋上防水工事の適切なタイミングや、業者選びの際に注意すべき点もあわせてご案内しますので、ぜひ最後までご覧ください。

なぜRC造の屋上に防水工事が必要なの?

RC造の屋上は、陸屋根と呼ばれる平らな形状であることが一般的です。
勾配のある屋根と異なり、陸屋根は雨水が流れにくく、屋上に水が溜まりやすい構造です。
防水層がなければ、雨水がコンクリートに浸透し、やがて雨漏りを引き起こします。
雨漏りを放置すると、以下のような深刻な問題を引き起こす可能性があります。

防水層の劣化を放置することで起こる問題

  • 建物の構造体の腐食:雨水はコンクリート内部の鉄筋を腐食させ、建物の強度を低下させます。
  • カビやコケの発生:湿気はカビやコケの発生を促進し、建物の美観を損なうだけでなく、健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。
  • 資産価値の低下:雨漏りや建物の劣化は、資産価値を著しく低下させます。

防水層は雨水の浸入を防ぎ、これらの問題から建物を守る重要な役割を担っています。

RC造の防水工事の特徴

RC造の防水工事は、鉄骨造と比べて重量や構造上の制約があるため、工法の選択が重要です。
また、下地処理や防水層の厚さなども関係するため、他の構造に比べて費用が高くなる傾向があります。

新築時と改修時では、防水工事の内容が異なります。
新築時は防水層を新設する工事となりますが、改修時は既存の防水層の劣化状況に応じて、補修や撤去・新たな防水層の設置などが行われます。

RC屋上防水の種類と金額の目安

RC屋上防水には、主に以下の4つの種類があります。それぞれの特徴や費用相場を把握し、建物の状況や予算に合わせて最適な工法を選びましょう。

ウレタン防水

ウレタン防水は、液状のウレタン樹脂を塗布して防水層を形成する工法です。
継ぎ目のない美しい仕上がりになること、複雑な形状の屋上にも対応できること、比較的安価であることが特徴です。

メリットデメリット費用相場
(/㎡)
耐用年数向いているケース
・継ぎ目がなく液密性が高い
・複雑な形状や凹凸のある場所にも施工可能
・比較的安価
・軽量で建物への負担が少ない
・耐久性がやや劣る
・紫外線や熱に弱い
・職人の技能によって仕上がりに差が出る
6,000~9,500円10~14年・比較的狭い屋上
・人が歩く場所
・コストを抑えたい

シート防水

シート防水は、工場で製造された防水シートを接着剤で貼り合わせる工法です。
均一な仕上がりになり、工期が短いことがメリットです。
使用されるシートには、塩ビシートと合成ゴムシートの2種類があります。

メリットデメリット費用相場(/㎡)耐用年数向いているケース
・工期が短い
・均一な防水層を形成できる
・広い面積に適している
・複雑な形状や凹凸のある場所には不向き
・シートの継ぎ目から雨漏りするリスクがある
・下地の影響を受けやすい
・塩ビ 5,000~10,000円
・合成ゴム 3,000~4,500円
10~15年・広い面積の屋上
・コストを抑えたい場合
・工期を短縮したい場合

FRP防水

FRP防水は、ガラス繊維とポリエステル樹脂を組み合わせた防水層を形成する工法です。
軽くて丈夫で、耐衝撃性・耐摩耗性に優れていることが特徴です。
硬化が早いため、短工期で施工できます。

メリットデメリット費用相場
(/㎡)
耐用年数向いているケース
・軽くて丈夫
・耐衝撃性や耐摩耗性に優れている
・硬化が早く短い工期で施工できる
・施工費用が高い
・独特のにおいが発生する
・紫外線に弱い
6,500~9,500円12~20年・歩行や軽車両の通行がある場所
・工期短縮を希望する場合
・高い耐久性が求められる場所

アスファルト防水

アスファルト防水は、アスファルトを塗り重ねて防水層を作る伝統的な工法です。
耐久年数が長いことがメリットですが、重量があり独特のにおいが発生するため、採用されるシーンが限定されます。

メリットデメリット費用相場(/㎡)耐用年数向いているケース
・耐久性が高い
・耐用年数が長い
・重量がある
・独特のにおいが発生する
・施工費用が高い
・工期が長い
6,000~9,000円15~25年・広い面積の屋上
・頻繁にメンテナンスできない場所
・ビルやマンションなど

防水工事にかかる金額の内訳

屋上防水工事の費用は、防水材の㎡単価だけでなく、以下のような諸経費も含まれます。

  • 高圧洗浄:既存の防水層や下地の汚れを高圧洗浄機で落とす作業
  • 下地処理:防水層を密着させるための下地調整
  • 廃材処分:既存の防水層を撤去した場合の廃材処理費用
  • 足場代:高所作業を行うための足場設置費用

施工面積や建物の形状・劣化状況などによって、費用は大きく変動します。
例えば100㎡のRC屋上の場合、ウレタン防水で約110万円・シート防水で約120万円・アスファルト防水で約100万円・FRP防水で約110万円と、高圧洗浄や足場代が必要です。
またすでに雨漏りや排水不良などの不具合がある場合は、追加費用が発生する可能性があります。

防水工事の工法ごとに最適な頻度とは?

それぞれの工法には目安となる耐用年数があり、このタイミングでメンテナンスや点検を行い、結果をもとに再施工が検討されるのが一般的です。

ウレタン塗膜(ウレタン・FRP)防水の頻度

ウレタン塗膜防水は柔軟性が高く、複雑な形状の屋上にも適用しやすい工法です。
しかし、紫外線や天候の影響を受けやすいため、耐久年数は10~15年程度が一般的です。
そのため、10年を目安に定期的なメンテナンスや再塗装が推奨されます。
特に、経年劣化によるひび割れや防水層の剥がれが見られる場合、早めの補修が必要です。
定期的な点検を行い、劣化が進行する前にメンテナンスを行うことで、建物の寿命を延ばし、大規模な修繕費用を抑えることができます。

シート防水の頻度

シート防水は耐久性に優れ、定期的なメンテナンスが少なく済む点が特徴です。
一般的な耐久年数は15~20年程度とされており、ウレタン塗膜防水に比べて長持ちします。
シート防水には、塩ビシートやゴムシートなどの種類があり、特に耐候性の高いシートを使用すれば、さらに耐用年数が延びることもあります。
ただし、接合部分や端部の劣化が起こりやすいため、定期的な点検は欠かせません。
20年を目安に再施工を検討すると良いでしょう。

アスファルト防水の頻度

アスファルト防水は古くからある工法で、耐久性と防水効果が非常に高いとされています。
一般的な耐久年数は20~30年とされており、他の工法に比べて長期間メンテナンスが不要です。
ただし耐久年数が長いぶん、劣化の進行が見逃されがちなため、定期的な点検が重要です。
点検の際に、防水層に異常が見られた場合は、部分補修や再施工を検討しましょう。
耐用年数の限界に近づいたら、大規模な補修工事が必要になる可能性が高いため、計画的な対応が求められます。

いずれの目安も、メンテナンスや点検を適正に行った場合の年数です。
建物の立地や災害などにより、この年数は前後する場合も少なくないため、計画的にメンテナンスを行うことが、建物の長寿命化の鍵と言えるでしょう。

RC造の建物における防水工事の流れ

鉄筋コンクリート(RC)造の屋上防水工事は、建物の劣化を防ぎ、長期的な耐久性を維持するために欠かせません。
ここでは、一般的な防水工事の流れについて詳しく解説します。

  1. STEP

    事前調査と打ち合わせ

    まずは、建物の状況を把握するための事前調査が行われます。
    劣化の程度や既存の防水層の状態を確認し、最適な工法や必要な工事範囲を決定します。
    その後、施主や管理者との打ち合わせを通じて、工事の内容やスケジュール・費用の見積もりを確定します。

  2. STEP

    既存防水層の撤去・下地処理

    工事が決定すると、まず既存の防水層の撤去作業が行われます。
    古い防水材を取り除いた後、コンクリートの下地がむき出しになった状態を確認し、ひび割れや劣化部分の補修を行います。
    この下地処理が、防水工事の耐久性に大きく影響します。

  3. STEP

    防水工事の施工

    下地処理が完了したら、選定された防水工法に基づいて施工が始まります。
    主な工法には、ウレタン防水やシート防水・アスファルト防水などがあります。
    工法ごとに施工方法は異なりますが、いずれも丁寧に防水層を形成し、しっかりと乾燥させることが重要です。

  4. STEP

    仕上げと点検

    防水層の施工が完了した後、仕上げとして保護塗装やトップコートを施します。
    これにより、防水層の耐久性をさらに向上させます。
    最後に、施工がしっかり行われたかを確認するための点検が実施され、問題がなければ工事完了です。

RC造屋上防水工事で注意すべきポイント

RC屋上防水工事を成功させるためには、以下の注意点を押さえておくことが大切です。

適した工法を選択する

防水工事には、大きく分けて「密着工法」と「通気工法(通気緩衝工法・絶縁工法)」の2種類があります。

  • 密着工法:防水層を屋上の下地に直接密着させる工法。工事が比較的簡単で費用も抑えられますが、下地の影響を受けやすいデメリットがあります。
  • 通気工法:下地と防水層の間に通気層を設ける工法。下地の影響を受けにくく、防水性能が高いものの、密着工法に比べて費用が高くなります。

下地の状態に応じて適切な工法を選択する必要があり、雨漏りのリスクも考慮したうえで判断することが重要です。

ドレン周り・笠木の状態も確認する

ドレン(排水口)や笠木は、防水層と同様に劣化しやすい箇所であり、定期的な点検とメンテナンスが必要です。
ドレン周りが劣化すると雨水が建物内部に浸入しやすくなり、雨漏りを引き起こす可能性があります。
また笠木が劣化すると、外壁に雨水が浸透し、建物の構造体にダメージを与える可能性があります。
防水工事と合わせてドレン周りや笠木の補修・改修を行うことで、より効果的に雨漏りを防ぐことができるでしょう。

実績のある専門業者へ依頼する

RC造の屋上に行う防水工事は、専門性の高い工事です。
信頼できる業者に依頼することが、工事の成功に不可欠です。
業者選びの際には、以下のポイントを参考にしましょう。

  • 防水工事の実績が豊富:多くの実績を持つ業者は、あらゆる状況に対応できるノウハウを持っています。
  • 見積もり内容が明確:費用の内訳が明確かつ、不明瞭な点がないかを確認しましょう。
  • 丁寧な説明:工事内容や費用について、わかりやすく説明してくれる業者なら安心です。
  • 保証内容:万が一、工事後に不具合が発生した場合の保証内容や、アフターフォローなどを確認しましょう。
  • 複数業者から相見積もり:複数の業者から見積もりを取り、費用や保証内容を比較検討することで、適正な価格・工期で工事を実施できます。

工事後のメンテナンスを行う

防水工事を行った後も、定期的なメンテナンスを行うことで、防水層の寿命を延ばし、建物を長期的に保護することができます。

  • 定期的な清掃:3ヶ月に一度程度、ドレンのゴミを取り除き、排水口の詰まりを防ぎましょう。また台風の後や落葉が多い時期には、こまめに掃除を行うと安心です。
  • 定期的な点検:10年に一度程度、専門業者へ点検を依頼し、防水層の劣化状況を確認しましょう。
  • トップコートの塗り替え: トップコートは、防水層を紫外線から保護する役割を担っています。5年おき程度にトップコートを塗り替えることで、防水層の劣化を抑制することができます。

いずれもメンテナンスによる早期発見・早期対応が、結果的に費用を抑えることにつながります。

まとめ

RC造の建物は耐久性や強度に優れていますが、屋上部分は紫外線や雨風の影響を受けやすく、時間の経過とともに防水機能が低下します。
これを放置すると、雨漏りや内部のコンクリートが劣化し、建物全体の耐久性に悪影響を及ぼす可能性があるため、定期的な防水工事が不可欠です。
防水工事の種類には、ウレタン・FRP防水やシート防水、アスファルト防水などがあり、それぞれ特性が異なるほか、施工方法や費用にも違いがあります。
費用の相場は、選定する工法や屋上の広さによって異なり、通常は数十万円から数百万円の範囲が一般的です。
実際の施工では、まず事前調査を行い、既存の防水層の劣化状況を確認します。
その後、適切な工法が選定され、下地処理・防水層の施工・仕上げ・最終点検と進行していきます。
この工程をしっかりと管理しないと、せっかくの防水工事も十分な効果を発揮しない恐れがあります。
また、RC造の屋上防水工事を実施する際には、施工時期や天候・選定する工法・信頼できる業者選びが重要なポイントです。
これらの点を考慮して工事を行うことで、建物の長寿命化を図るとともに、将来的な修繕コストの削減にもつながるでしょう。

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