外壁タイルは基本的にメンテナンス不要ですが、下地や目地にメンテナンスが必要なのはご存じですか?
下地や目地はどんどん劣化していきます。
メンテナンスせずにいると下地からタイルが剥がれて落下し、歩行者がケガをする恐れもあります。
死亡事故も発生していますので、定期的な点検は必須です。
そこで今回は外壁タイルのメンテナンスについて解説していきます。
費用相場や注意点についても見ていきますので、ぜひ参考にしてみてください。
目次
外壁タイル、下地、目地の寿命は?
外壁タイルの寿命は40年以上あると言われています。
外壁タイルは非常に堅牢な素材なので、基本的にメンテナンスの必要はありません。
外壁タイルには土や石、砂といった、元々自然界に存在する物質が材料として使われています。
そのため紫外線や風雨の影響を受けにくいのです。
一般的な外壁塗料は10~20年ほどで寿命を迎えますが、外壁タイルはあまり劣化しないでしょう。
しかし先ほども触れたように、下地や目地は劣化していきます。
下地や目地は「10年おきにメンテナンスが必要」と言われています。
外壁タイルにメンテナンスが必要な理由
外壁タイルは、次のような理由でメンテナンスが必要になります。
モルタルの目地や下地が劣化するため
外壁タイルの目地や下地にモルタルが使われている場合、劣化しやすいのでメンテナンスが必要です。
モルタルが硬化すると伸縮性がなくなるため、地震などが原因で目地に隙間ができたりヒビが入ったりしてしまいます。
雨漏りなどを引き起こし、建物内部が思った以上に腐食してしまう可能性があります。
コーキングが劣化するため
目地に使われるコーキングも劣化しやすいです。
場合によっては3年ほどで大きく劣化することもあります。
コーキングの劣化を放置すると雨漏りが起こったり、外壁が地震などの衝撃に弱くなったりしてしまいます。
欠けや割れが発生するため
外壁タイルに欠けや割れがある場合もメンテナンスが必要です。
基本的には丈夫な外壁タイルですが、外部から強い衝撃が加えられると欠けや割れが発生することがあります。
欠けや割れの部分からも、雨漏りする恐れがあります。
タイルの浮きや剥がれが起こるため
風雨はもちろん、昼夜の寒暖差などによっても外壁タイルは劣化し、徐々に剥がれやすくなっていきます。
剥がれ落ちたタイルが歩行者に当たり死亡するケースも報告されているので、外壁に浮きや剥がれを見つけた場合は放置しないように注意が必要です。
【症状別】メンテナンス方法と費用相場
ここでは外壁タイルの症状別に、メンテナンス方法と費用相場について解説していきます。
症状、目的 | メンテナンス方法 | 費用相場(1㎡あたり) |
汚れやカビ、コケの発生 | 高圧洗浄 | 200~300円 |
タイルの欠けやヒビ | 部分張替え、全面張替え | 部分張替え:500~1,000円全面張替え:10,000~50,000円 |
目地(コーキング)の劣化 | コーキングの打ち替え | 900~1,200円 |
モルタルの下地や目地の劣化、タイルの浮き | モルタルの補修 | 4,000~7,250円 |
美観の向上、耐久性の向上 | クリヤー塗装 | クリヤー塗装:2,000~5,000円 |
ただし上記はあくまでも目安です。
高さがある建物だったりすると、建物の周囲に設置する足場代などもかかるので、さらに費用が増えるでしょう。
メンテナンス方法の詳細
ここでは外壁タイルのメンテナンス方法を、具体的に解説していきます。
高圧洗浄
高圧洗浄機を使って、外壁タイル表面の汚れやカビなどを落としていきます。
洗剤を使わなくても、表面の汚れは十分に落とせますよ。
高圧洗浄で落とせない汚れは、薬品を使った「バイオ洗浄」という方法で落とす場合もあります。
下地や目地の補修
下地や目地に使われているモルタルのひび割れ部分に、エボキシ樹脂を充填して補修します。
現在ではサイディングに接着剤でタイルを貼る「乾式工法」が主流ですが、モルタル下地の「湿式工法」が使われている建物も数多くあります。
モルタルはタイルの剥離や剥落が起こりやすいので、定期的に不具合がないか検査することも大切です。
コーキングの打ち替え
コーキングの打ち替えとは、既存のコーキングを除去して、新たにコーキングを施すことを言います。
コーキングの打ち替えをすると防水性や耐久性が高まります。
コーキングの劣化を放置すると、地震の揺れなどの衝撃を吸収できなくなるので注意が必要です。
ちなみに打ち替えをするほどではない劣化具合の場合は、既存のコーキングの上からコーキングを施す「打ち増し」を行なう場合もあります。
クリヤー塗装(タイルコート)
外壁タイルに無色透明なクリヤー塗装を施すことも、一般的に行なわれます。
「耐久性の高い外壁タイルにクリヤー塗装h必要ない」と言われることもありますが、クリヤー塗装を施すことにより外壁タイルの艶が増し、防水効果も付与されます。
ただしクリヤー塗装は1、0~15年ごとに塗り替えが必要になるので留意しておきましょう。
タイルの張替え
耐久性の高い外壁タイルでも欠けや割れが発生するケースがあり、交換が必要になる場合があります。
下地が傷んでいる場合も、タイルの張替えが必要になることがあります。
外壁タイルを塗装するメリット
外壁タイルは基本的に塗装不要ですが、外壁タイルを塗装することにより、次のようにさまざまなメリットが得られます。
見た目が良くなる
タイルを塗装すると、経年劣化による色あせや汚れを予防・改善できます。
建物の見た目が良くなると資産価値も高まりやすいですよ。
目地を保護できる
タイルを塗装すると、目地を保護できるメリットが得られます。
先ほどもご紹介したように、目地は劣化しやすいです。
目地を保護すると、定期的なメンテナンスの頻度を減らせる効果も期待できますよ。
外壁タイル塗装の費用相場
外壁タイル塗装の費用相場は100~140万円程度と言われていますが、塗料の種類によっても変動します。
塗料の種類 | 耐用年数 | 費用相場(1㎡あたり) |
アクリル塗料 | 5~7年 | 1,400~1,600円 |
ウレタン塗料 | 8~10年 | 1,700~2,200円 |
シリコン塗料 | 10~15年 | 2,300~3,500円 |
フッ素塗料 | 15~20年 | 3,800~4,800円 |
無機塗料 | 20~25年 | 4,300~5,500円 |
上記の塗料の中で、最も多く使われているのがシリコン塗料です。
耐用年数と費用のバランスが良いのが特徴です。
またフッ素塗料や無機塗料は費用が高めですが、耐用年数が長いので決してコスパが悪いわけではありません。
外壁タイル塗装の注意点
外壁タイル塗装では、次のような注意点もあります。
タイル用の塗料を選ぶ
外壁タイルを塗装する際は、タイル用の塗料を選びましょう。
塗料のカタログに「適用下地」という項目があり、そこに「磁器タイル」「陶器タイル」タイルの記載があれば外装タイルに使えます。
クリヤー塗料(タイルコート)を選ぶ
外壁タイルに塗料を塗る際は、無色透明のクリヤー塗装を選びます。
色付きの塗料は、数年で剥がれや色褪せが目立ってくるので、できるだけ避けましょう。
プロに依頼する
自分でタイル塗装をすることも不可能ではありませんが、塗装に慣れていないと仕上がりのクオリティも下がりやすく、耐久性も短くなる恐れがあります。
まとめ
最後に、今回の記事の内容を簡単にまとめていきます。
- 外壁タイルの寿命は40年以上
- メンテナンスは10年おきに必要
- メンテナンス方法によって費用が異なる
- 外壁タイル塗装を施すと、見た目が良くなり劣化も防げる
外壁タイル自体は基本的にメンテナンス不要ですが、下地や目地のメンテナンスは忘れずに行ないましょう。
外装タイルの見た目を良くしたい場合や、目地の劣化が気になる場合は、ぜひタイルコートも試してみてくださいね。