シーリング工事は、建物の健康を守るためには必須です。
シーリング工事の良し悪しで、建物の寿命が変わるほどです。
そこでこの記事ではシーリング工事について解説していきます。
費用相場や注意点などについて、詳しく解説していきますよ。
大規模修繕をお考えのかたは、ぜひ参考にしてみてください。
目次
シーリング工事とは
シーリング工事とは、外壁とサッシの隙間や、外壁ボード同士のつなぎ目、タイル同士のつなぎ目などを埋める工事のことを言います。
コンクリートにひび割れが発生した場合も、シーリング材を使って補修します。
隙間部分にシーリング工事を施すことで、防水性や気密性が向上します。
建物を雨水の侵入から守ったり、強い風から守ってくれたりします。
ちなみにシーリングは5年ほどで劣化してくるので、定期的なメンテナンスが必要です。
シーリング工事が必要なケース
シーリング工事は、既存のシーリング材に次のような症状が起こった場合に、おこなうのが一般的です。
- ひび割れ
- 剥がれ
- 切れ(裂け)
上記のような症状が出ている場合は、シーリングの機能が低下している、または機能していない可能性が高いです。
隙間から雨水が侵入し、水漏れしたり建物の内部が劣化したりする恐れがあります。
こうした症状が起こった場合は、なるべく早めにシーリングの打ち替え工事を行うことをおすすめします。
シーリング工事は2種類ある
シーリング工事には、「打ち替え工事」と「打ち増し工事」の2種類があります。
打ち替え工事 | 既存のシーリング材を綺麗に除去してから、新しくシーリング材を充填します。 既存のシーリング材の劣化が激しい場合に行われます。 |
打ち増し工事 | 既存のシーリング材の上から、新たにシーリング材を充填します。 既存のシーリング材の劣化が少ない場合に行われます。 |
シーリング材の種類
シーリング材には、次の4種類があります。
- アクリル系
- ウレタン系
- シリコン系
- 変性シリコン系
アクリル系
アクリル系のシーリング材は、湿っている場所でも施工できるのが特徴です。
一般的に、施工費用が最も安いのがアクリル系です。
ウレタン系のように弾力があり、硬化すると少し縮む性質があります。
耐久性が耐候性が低いですが、アクリル系シーリングの上から塗料を塗ることも可能なので汎用性があります。
ウレタン系
ウレタン系のシーリング材は、耐久性が高いのが特徴です。
既存のシーリング材の上から施工でき、硬化後は弾力を持ちます。
ただし耐候性や耐光性が低く、ホコリを吸着しやすいです。
そのため施工後は、シーリング部分の表面を保護する必要があります。
シリコン系
シリコン系のシーリング材は、値段がリーズナブルなのが特徴です。
耐久性もあり、プライマー(接着剤)を下塗りしなくても施工できます。
ただし施工後にシリコンオイルが染み出てくるのが難点です。
そのため施工箇所の上から塗料を塗ることはできません。
シリコン系のシーリング材は塗料を使う外壁ではなく、ガラス廻りや水廻りで使われるのが一般的です。
変性シリコン系
変性シリコン系は、耐久性や耐光性に優れます。
シリコン系よりもオイルが染み出にくく、上から塗装を施すことも可能です。
ただしシリコン系よりも密着性が少ないため、施工の際はプライマーを使います。
変性シリコン系はガラスや金属、モルタルなど、色々な素材面に使えます。
サイディング(外壁に貼る仕上げ用の板材)やタイルなど、さまざまな箇所で活躍します。
ただし変性シリコン系は、施工費用が割高なのが難点です。
シーリングとコーキングは同じもの
シーリングのことを「コーキング」と呼ぶこともあります。
ただしこの2つの言葉は、多少ニュアンスが異なります。
シーリング | 防水を目的として、隙間に詰め物をすること。「密閉する」という意味合いがある |
コーキング | 隙間に詰め物をすること |
シーリングと呼んでもコーキングと呼んでも、現場では同じ工事をするので、好きな呼び方で構いません。
費用相場
建物にシーリング工事を施すには、以下のような費用がかかります。
1㎡あたりの費用相場 | |
打ち替え工事 | 900~1,200円 |
打ち増し工事 | 500~900円 |
ただし上記はあくまでも参考費用です。
施工箇所の広さやシーリング材の種類、仮設足場の有無などによっても費用は変わります。
工期の目安
シーリング工事には、大体2~5日ほどの日数がかかります。
ただし途中で雨が降った場合は工事が延期になりますので、留意しておきましょう。
シーリング工事のメリット・デメリット
シーリング工事にはメリット・デメリットがあるので、工事を行う前に確認しておきましょう。
メリット
シーリング工事のメリットは次のとおりです。
- 雨漏りを防ぐ
- 外壁の寿命を延ばす
- 揺れに強くなる
シーリング材には伸縮性があるので、地震などにより建物が揺れた際のクッションになり、耐震性も発揮します。
ちなみにシーリング工事を行う際は、施工箇所以外の外壁の点検も一緒に行うのが一般的です。
建物全体の状態をチェックする良い機会になるでしょう。
デメリット
シーリング工事には、以下のようなデメリットもあります。
- 費用がかかる
- 2階以上での工事は仮設足場の設置が必要になる
シーリングの劣化が激しい場合や、施工箇所が多い場合は、その分だけ費用も多くなります。
ちなみに外装塗装を行うタイミングでシーリング工事も一緒に行うと、何度も仮設足場を設置し直す必要がなくなるので、足場設置の費用が節約できますよ。
シーリング工事の流れ(打ち替え工事の場合)
シーリング工事は以下のような流れで行われます。
今回は新たにシーリング材を打ち直す、打ち替え工事の手順をご紹介していきます。
- 既存のシーリング材の除去
- 養生(施工箇所以外の保護)
- バックアップ材やボンドブレーカーの取付け
- プライマーの塗布
- シーリング材の充填
- 表面のならし
- 養生はがし
1、既存のシーリング材の除去
まずは劣化した既存のシーリング材を除去します。
除去後はシーリング材が埋め込まれていた場所を、ブラシでしっかりと清掃しておくことが大切です。
2、養生(施工箇所以外の保護)
これから使うプライマーやシーリング材が施工箇所以外に付着しないように、マスキングテープで周囲を保護します。
3、バックアップ材やボンドブレーカーの取付け
シーリング材の、目地の底への接着(三面接着)を防ぐために、バックアップ材やボンドブレーカーを取り付けます。
これで、外壁とパネルとの間にシーリング材が入り込むのを防げて、外壁とシーリング材が直接触れません。
シーリング材が動きやすくなり、揺れが起こった際などにより柔軟性を発揮できるようになります。
4、プライマーの塗布
施工箇所にホコリやサビが付着していないかどうか、施工箇所がしっかり乾燥しているかを確認し、プライマー(接着剤)を塗ります。
5、シーリング材の充填
コーキングガンを使い、シーリング材を充填していきます。
職人の技術によって、シーリングのクオリティに差が出てきますよ。
6、表面のならし
シーリング材を充填した部分をヘラで圧着させ、表面をならしていきます。
こうすることで余分なシーリング材が取り除け、さらに密着性を高められます。
7、養生はがし
シーリング材が完全乾燥する前に、養生のために貼ったマスキングテープを剥がし、シーリング工事完了です。
シーリング工事の注意点
シーリング工事では次のような注意点もあるので、事前に確認しておくと安心です。
定期的なメンテナンスが必要
先ほども触れましたが、シーリングの寿命は5年程度と言われています。
ひび割れや剥離、肉やせなどが徐々に起こり、防水性能も低下していきます。
シーリングを施す環境によっても寿命は異なりますが、「寿命は5年」と覚えておきましょう。
ちなみに使用期限切れのシーリング材を使うと耐久性が低くなるので、施工業者はこの点も注意しなくてはなりません。
天気の影響を受けやすい
シーリング工事は、雨の日や寒い日の施工には適していません。
大体気温が15~25℃、湿度が80%未満で、無風の曇りの日が良いと言われています。
しかし「さっさと終わらせてしまおう」と、天気や気温を気にしない施工業者が多い傾向に。
場合によってはシーリング材の耐用年数が低下する可能性があるので要注意です。
業者と「雨天時などの施工はどうするか」、事前に話し合っておくのをおすすめします。
業者の腕でクオリティが変わる
シーリング工事は施工する人の技術や知識により、クオリティが変わります。
熟練の職人がシーリング工事を行うと、水漏れなどが起こりにくくなります。
施工業者を探す際は、過去の施工実績はどうか、シーリング工事の専門家かどうか、事前に確認しておくと良いでしょう。
まとめ
建物の寿命を長くするには、シーリング工事は欠かせません。
建物の防水性能を高め、雨漏りを防いでくれますよ。
前回の施工から年数が経っている場合は、ぜひシーリング部分をチェックし直してみてください。
また、適切にシーリング工事を行ってくれる業者選びも重要です。
- シーリング工事の実績が豊富か
- 防水施工技能士の国家資格を持っているか
- 担当者が丁寧に対応してくれるか
見積もりの際には以上のようなことをチェックすると、良い施工業者を見つけやすくなります。
複数の施工業者を比較して、ぜひ満足のいくシーリング工事を行なってみてくださいね!