「介護は人の手で行うもの」という考え方が、つい何年か前までは主流でした。
しかし、日本が高齢化社会を迎えた今、介護ロボットの導入がすすめられています。
埼玉県では、大規模修繕とあわせて介護ロボットを導入した際に、かかる費用の一部を助成する事業が行われています。
これは購入だけでなくレンタルやリースの場合にも申請が可能です。
※現在、埼玉県が募集している介護ロボットへの補助事業はありません。情報は令和4年度実施のものです。
介護ロボット・ICT導入は介護従事者への負担を減らし、働きやすい労働環境を整備するために行われています。
介護従事者への負担が減ることで、介護者の腰痛予防・他のサービスへの注力などが叶い、介護の質向上が見込まれます。
多くの介護施設が積極的にこの制度を利用することで、介護をする側・される側にとって大きなメリットがうまれます。
対象となるロボット・ICTは、
・移乗介護
・移動支援
・排泄支援
・見守り
・コミュニケーション
・入浴支援
・介護業務支援
を目的としたものに限られます。
その他、技術的に国から認められている機器であることが条件となっていますので、導入の際には対象の機器に該当するかを確認することが必要です。
1つの機器につき、費用の4分の3を補助として受給できる可能性があります。
また、機器により上限が決まっていますのでご注意ください。
・移乗支援/入浴支援 100万円
・見守り 30万円
・その他 30万円
目次
介護従事者の負担を軽減
介護に携わる方の多くを悩ませているのが、腰痛です。
この悩みを解決する策の一つとして挙げられるのが、移乗介護や移動支援などの介護ロボットです。
移乗等をサポートすることで、腰への負担を大幅に減らすことが可能となります。
その他にも見守りサポートが出来るロボット・ICT機器などは、少人数体制となってしまう夜間帯や認知症利用者の見守りに高い効果を期待できるでしょう。
介護者が入所者の様子を離れた場所からでも把握できるため、トラブルや異常の早期発見につながり、安全性が向上します。
それに加えて利用者の生活リズムや、状態を記録する機能を兼ね備えているものもあり、介護従事者の細かな仕事を削減してくれます。
介護従事者の負担を軽減することで、離職を防ぎ働き手の確保が容易になります。
利用者からみた介護ロボット・ICT
介護従事者の負担軽減に注目されがちな介護ロボット事業ですが、被介護者にとっても沢山の利点があります。
被介護者となる高齢者の中には「出来ることは自分でやりたい」と考える方が多く、全てを人に委ねてしまう介護は、被介護者の尊厳を傷付け精神的に大きな負担を与える場合が少なくありません。
また介護者の中には、介護者の腰痛を心配する気持ちや、申し訳ないという気持ちから介護者に頼ることが出来ない方がいらっしゃいます。
しかしそのような方でもロボットへは、遠慮することなく何度でも移乗や移動の依頼ができるため、被介護者の時間の確保につながります。
ロボットを活用することで、プライバシーが保護される・ご自身でできることが増えるなど、被介護者が前向きに自分らしく生活しやすくなるでしょう。
導入した施設では、被介護者となる施設利用者からの前向きな意見が多く寄せられています。
介護ロボット・ICTの導入例
1.パワードスーツ(移乗支援・入浴支援 装着型)
介護者の腰を中心とした身体への負担を軽減するものとして、マッスルスーツがあり、移乗や入浴介助などの際に、特に力を発揮します。
身体を支えるためには大きな筋力が必要ですが、マッスルスーツはそれを自然な形でサポートします。
介護する側の高齢化も深刻になってきている昨今において、今後介護に従事する人材確保につながっていきます。
2.移乗介助ロボット(移乗支援・入浴支援 非装着型)
ベッドから車いすへの移動やトイレや脱衣時の立位保持をサポートするロボットなど、さまざまなロボットが開発されています。
人を抱えて移動させることは、重労働です。
ロボットを活用することにより、介護者の腰への負担が大幅に軽減されます。
人の手による事故が減ることで安全性も高まり、質の高い介護が提供できるようになります。
またロボットに頼ることで、被介護者の活動性の向上も期待できるでしょう。
トイレへの移動やトイレ内での動作を補助するロボットであれば、難しかったトイレでの排泄動作の自立度が高まり、QOLの向上という意味でも効果的です。
リフト型のもの・補助ロボットなど、さまざまな形がありますので、それぞれの施設に合ったロボット・機器を選ぶことが大切です。
3.見守りセンサー(見守り機器)
利用者の居室に設置することで、利用者の見守りが可能です。
暗い夜間でも感知が可能で、最新のテクノロジーを駆使して開発された高性能なものが多数販売されています。
利用者の起き上がり・離床・転倒などを離れた場所から確認ができ、音やライト等で異常や危険を介護者へ知らせるものが主流です。
これにより、認知症患者の徘徊を未然に防ぐことが可能となり、転倒等のトラブルにもすぐに対応ができるため安心です。
不必要な見回りが減ることは、介護従事者の業務負担・精神的負担の軽減にもつながります。
見守り機器の中には、汗や呼吸・排泄物など水分を認知できる機器も開発されています。
導入の際には、見守りセンサーの費用に加えて、通信環境の整備に必要な費用について補助が申請できます。
4.ポータブルトイレ(排泄支援)
被介護者の尊厳を最も傷つけてしまうのが、排泄への介助です。
「可能な限り自分で排泄したい」という被介護者のために、ベッド横に設置できる水洗ポータブルトイレが多数開発されています。
これまでのポータブルトイレは、定期的に介護者が処理をする必要がありました。
近年はさまざまな技術で配管等を使って処理できるものが増えています。
臭い等による被介護者の精神的な負担と、介護者の業務削減につながります。
その他にも排泄を支援する機器として、膀胱の変化を感知して排泄のタイミングを教えてくれる機器が開発されており、被介護者の自立を促すことに役立つことが期待できます。
大規模修繕とロボット導入で質の高い介護を実現
埼玉県では大規模修繕とあわせて行うことを条件に、ロボット・ICT導入に補助を行う事業を行っております。
今後は、購入・レンタル機器にかかる費用の4分の3が補助される予定です。
大きな課題となることが予測される人手不足を改善するため、ロボット・ICTの導入は効果的です。
補助金が受給できれば費用的に導入が安易なものも多数あります。
介護人材の確保・介護の質向上が期待できるので、多くの介護施設が導入を検討しています。
令和5年度 介護ロボット普及促進事業について
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0603/kaigo-net/robot/saitama.html
介護ロボットとは
https://robotcare.jp/data/news/products_list.pdf
https://robotcare.jp/jp/home/index
※現在、埼玉県が募集している介護ロボットへの補助事業はありません。情報は令和4年度実施のものです。
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0603/kaigo-net/robot/saitama.html