外壁防水塗装工事は、建物の劣化を防ぎ、美観を保つために欠かせない重要なメンテナンス作業です。
特に、雨風や紫外線の影響を受けやすい日本の気候では、防水性能の維持が建物の寿命を大きく左右します。
本記事では、外壁防水塗装工事の基本情報からメリット・デメリット、費用の目安、施工方法までを詳しく解説します。
これから外壁の防水塗装工事を検討している方に役立つ情報をお届けします。
目次
外壁防水塗装工事とは?
外壁防水塗装工事とは、建物の外壁を雨風や紫外線などから保護するための工事です。
塗料を使用して外壁に防水膜を形成し、雨水の侵入や湿気による劣化を防ぎます。特に日本のように湿気が多く台風の影響を受けやすい地域では、防水対策が欠かせません。
この工事は、ただ外観を整えるだけでなく、建物全体の耐久性を高める役割も果たします。
例えば、外壁にひび割れが生じると、そこから雨水が内部に浸入し、断熱材や構造材を傷める可能性があります。これが進行すると、修繕費用が増大するため、早めの対応が重要です。
また、防水塗装には環境負荷を低減する効果もあります。一部の防水塗料はエコマーク認定を受けており、建物の断熱性能を向上させることでエネルギー効率を高めます。
このように、外壁防水塗装工事は地球環境に優しい選択肢でもあります。
外壁防水塗装工事のメリット
外壁防水塗装は、建物を雨水から守るための有効な手段ですが、メリットとデメリットを比較検討することが重要です。
まずは外壁防水塗装のメリットから解説します。
- 外壁の劣化を防ぐ
- ひび割れからの雨水浸入を防ぐ
- 雨漏りリスクの低減
防水塗装は外壁材への水分浸透を防ぎ、湿潤膨張と乾燥収縮の繰り返しを軽減することで、外壁材の劣化を抑制します。これは建物の寿命を延ばすことに繋がります。
また、防水塗装に用いられる弾性塗料※は、ゴムのような弾力性を持つ塗膜を形成します。この弾力性により、外壁材に発生する微小なひび割れにも追従し、塗膜が割れることを防ぎ、結果として雨水の浸入を防ぎます。
さらに、ひび割れからの雨水浸入は、建物の腐朽・腐食や耐久性低下に繋がります。 防水塗装を行うことで、雨漏りリスクを低減し、建物の構造と居住環境を守ることができます。
外壁防水塗装工事のデメリット
次に外壁防水塗装のデメリットを解説します。
- 大きなひび割れには対応できない
- 塗膜にふくれが生じやすい
- 塗料の耐用年数が短い
外壁防水塗装では、1mm以上の大きなひび割れには対応できません。大きなひび割れが発生している場合は、防水塗装だけでは十分な効果が得られない可能性があり、別途補修工事が必要になることがあります。
また、外壁から湿気や熱気が発生する場合、塗装による塗膜にふくれが生じやすく、美観を損ねる可能性があります。
外壁防水塗装に用いられる弾性シリコン塗料の耐用年数は8~10年と、一般的なシリコン塗料(10~12年)よりも短くなります。 耐用年数が短いということは、より頻繁に塗り替えが必要になることを意味し、費用がかさむ可能性があります。
外壁防水塗装を行う際は、上記のデメリットをよく理解し、建物の状況に合わせて適切な判断を行うことが大切です。
外壁防水塗装工事の費用相場
外壁防水塗装工事の費用相場は、5,000~6,000円/㎡程度です。これは、一般的なシリコン塗料を使用した外壁塗装の費用(2,500~3,500円/㎡)と比べると、2、3割程度高くなります。
一般的な一戸建て住宅の場合、外壁塗装の総額は100万円程度ですが、防水性能の高い塗料で防水塗装を行った場合は、120~130万円程度になるでしょう。
防水塗装工事の費用が高くなる理由は、以下の点が挙げられます。
- 塗料の価格
→防水性能の高い塗料は、一般的な塗料よりも高価です。 - 施工の難易度
→防水塗装工事は、一般的な外壁塗装工事よりも、高い技術と経験を必要とします。
外壁防水塗装工事は、建物の寿命を延ばすために有効な工事ですが、費用も高額になります。費用や注意点などをよく理解した上で、信頼できる業者に依頼することが大切です。
極端に安価な業者は下請けの塗装業者に約1/3で工事をさせてしまうため、結果として塗料代と職人代を省くことになり、手抜き工事に繋がる可能性があるため注意しましょう。
外壁防水塗装工事の仕上げ方法
外壁防水塗装工事の仕上げ方法には、主に3つの方法があります。
- 単層弾性仕上げ
- 複層弾性仕上げ
- 微弾性塗料仕上げ
下塗りをした後、弾性塗料で上塗りを2~3回行う、一般的な戸建て住宅の仕上げ方法です。柔軟性に優れ、小さなひび割れにも対応できます。コストは比較的安い方法になります。
下塗りの後、弾性塗料で2回中塗りを行い、さらに通常の塗料で2~3回上塗りを行う仕上げ方法です。塗膜を厚くすることで、ひび割れへの対応力を高めることができますが、塗料代と施工の手間がかかるため費用は高額になります。
3つの中で最も弾性が弱い仕上げ方法です。伸縮性のある下塗り材(微弾性フィラー)を塗布した後、通常の塗料で2回上塗りを行います。防水塗装と呼ぶには難しい仕上げ方法です。
外壁の防水塗装以外の防水工事
外壁の防水工事には、防水塗装工事のほかに以下のような方法もあります。
- サイディングの張り替え工事
- 外壁塗装工事
サイディングからの雨漏りが頻繁に発生する場合は、サイディングを撤去し、下地となる胴縁、防水シート、サイディングを新たに設置する必要があります。費用は高額になりますが、サイディングは新品になり、雨漏りをしっかり補修することができます。
通常の外壁塗装で仕上げる場合は、コーキングの打ち替えを行うことで防水効果を高めることができます。劣化したコーキングを撤去して新たにコーキングを打ち替え、その上から外壁塗装を行うため、外壁の仕上がりもきれいになります。
どの仕上げ方法が適切かは、建物の状況や予算、求める防水性能によって異なります。 専門業者に相談し、最適な方法を選びましょう。
外壁防水塗装工事のDIYは可能?
結論から言うと、外壁防水塗装工事のDIYはおすすめできません。
外壁防水塗装のDIYがおすすめできない理由としては以下になります。
- 専門知識と技術が必要
- 高所作業で事故のリスクがある
- 均一で美しい仕上がりにするのは難しい
- 雨漏りの原因によって工事内容が異なる
外壁防水塗装工事は、ただ塗料を塗るだけでなく、ひび割れの補修や下地処理など、専門的な知識と技術を必要とする工程が多くあります。
また、塗料の選定や塗布方法を誤ると、十分な防水性能が得られず、かえって建物の劣化を早める可能性もあります。
塗装業者でも雨漏りを直せないケースがあることから、DIYではさらに難易度が高くなります。
さらに、雨漏りの原因は様々で、外壁のひび割れ以外にも、屋根や窓周りなど、別の箇所が原因となっていることもあります。 原因を特定せずにDIYで防水塗装を行っても、雨漏りが解決しないばかりか、状況を悪化させる可能性もあります。
以上のことから、外壁の防水塗装はDIYではなく、専門業者に依頼することを強くお勧めします。
外壁防水塗装工事にかかる施工期間とは?影響する要因と目安
外壁防水塗装工事にかかる施工期間は、様々な要因によって異なります。一般的には、工事の規模や建物の状態、天候などが影響します。ここでは、施工期間を左右する主な要因と、目安となる期間について解説します。
まず、 工事の規模 が最も重要な要因です。小規模な住宅やマンションの外壁防水塗装工事は、通常1週間から2週間程度で完了します。一方、大規模な建物や複数階建てのマンションの場合は、工事期間が3週間以上かかることもあります。
次に、 建物の状態 も影響を与えます。例えば、外壁にひび割れや劣化が見られる場合、補修作業が追加で必要となるため、塗装工事の前に修復作業を行う必要があります。これにより、施工期間が延びることがあります。逆に、外壁が比較的良好な状態であれば、塗装の作業だけで済むため、期間は短縮されます。
また、 天候 も施工期間に影響を与えます。防水塗装は気温や湿度、風の影響を受けやすいため、晴れた日が続くことが望ましいです。特に梅雨や台風シーズンなど、天候が不安定な時期は工事が中断されることがあり、その分工期が長引く可能性があります。
施工工程にも時間がかかります。外壁防水塗装工事は通常、以下の工程で進行します:
- 準備作業(足場の設置や外壁の洗浄)
- 下地処理(ひび割れ補修やサビの除去)
- 塗装作業(下塗り、中塗り、上塗り)
- 仕上げと点検(塗装の乾燥確認や仕上がりチェック)
各工程にかかる時間は、施工する外壁の広さや使用する塗料の種類によっても変動します。例えば、乾燥時間を確保するために、1回の塗装後に数時間から数日の待機時間が必要です。
まとめると、外壁防水塗装工事の施工期間は、一般的に 1週間から3週間程度 が目安となりますが、建物の状態や工事規模、天候などにより前後することがあります。工事を依頼する際には、詳細な見積もりをもらい、施工期間の目安を確認しておくと安心です。
外壁防水塗装工事は信頼できる業者に依頼しよう
外壁防水塗装工事をDIYではなく専門業者に依頼することには、次のようなメリットがあります。
- 建物の状況を正しく診断し、適切な施工をしてもらえる
- 高品質な仕上がりが実現できる
- 事故のリスクを抑えることができる
- 保証が受けられる
これらのメリットがあることから、外壁防水塗装工事は信頼できる業者に依頼するようにしましょう。
信頼できる業者の選び方
信頼できる業者を選ぶことは、外壁防水塗装工事を成功させるために非常に重要です。以下の点に注意して業者を選びましょう。
- しっかり点検・調査してから見積もりしてくれるか
- 費用が極端に安すぎないか
- 地元で実績はあるか
- アフターサービスや保証が充実しているか
外壁防水塗装工事は、建物の寿命を延ばすために有効な工事ですが、費用も高額になります。メリットや注意点などをよく理解した上で、信頼できる業者に依頼することが大切です。
まとめ
外壁の防水機能は、経年劣化やひび割れにより低下し、雨水の浸入を許すことで建物の腐食や耐久性の低下を招きます。
定期的なメンテナンスを行うことで、これらのリスクを未然に防ぎ、建物の寿命を延ばすことが可能です。
防水塗装を検討する際は、信頼できる業者に相談し、適切な施工を受けることが重要です。