外壁のメンテナンスについて悩んでいませんか?美しい外観と建物の機能を維持するために欠かせない外壁メンテナンスですが、「いつ行うべきか」「費用はどれくらいか」など、疑問点も多いでしょう。
本記事では外壁塗装を含むメンテナンスの必要性や適切な時期、そして費用相場について詳しく解説します。サイディングやタイルなど、外壁材の種類によって異なるメンテナンス方法や、屋根とのバランスを考慮した総合的なアプローチも紹介します。
外壁の劣化は放置すると大きな問題につながります。一方で、メンテナンスフリーと言われる外壁材もありますが、実際にはどうなのでしょうか?快適な住まいを維持するためにも、ぜひ最後まで読んで参考にしてみてください。
目次
外壁メンテナンスの周期が10年だと言われる理由は?
外壁メンテナンスを検討すべき時期としては、築10年が目安になることが多いです。これは塗料や外壁材の耐用年数に関係しています。
新築の外壁塗装には、費用を抑えるために耐用年数7〜15年の製品が使われることが非常に多いです。
耐用年数を超えてしまうと塗料が劣化し、外壁の機能・外観面に影響がでてしまいます。
塗料や外壁材の種類によって外壁メンテナンスが必要な時期は異なりますので、どんな塗料・外壁材を使用しているかは事前にチェックしておきましょう。
「外壁メンテナンスなんて必要ない」と鷹を括るのは危険です。
【素材別に解説】外壁メンテナンスの時期
外壁メンテナンスを行う時期は、外壁材・塗料の種類によって異なります。では素材ごとにどれくらいの違いがあるのでしょうか?
ここでは外壁材・塗料別に外壁メンテナンス時期の目安について解説していきます。
外壁材ごとの外壁メンテナンス時期
外壁材ごとの外壁メンテナンス時期・特徴は以下の通りです。
素材 | 外壁メンテナンスの時期 | 特徴 |
窯業系サイディング | 7〜8年 | ・耐震・遮音・防火性能が高い ・デザインやカラーバリエーションが豊富 |
金属系サイディング | 10〜15年 | ・防音・遮熱・防水性能が高い ・寒冷地でも使用できる |
樹脂系サイディング | 10〜20年 | ・耐候性・耐久性に優れている ・建物への負荷が少ない |
木質系サイディング | 10年 | ・断熱性が高い ・シーリングが不要 |
モルタル | 8〜10年 | ・デザイン性が高い ・シーリングが不要 |
ALC | 10〜15年 | ・耐火・耐久・耐震性が高い ・断熱性が高い |
タイル | 40年 | ・耐久性能が高い ・デザイン性が高い |
以上が外壁材ごとの外壁メンテナンス時期の目安です。多くの外壁材の耐用年数は、7年〜15年程度に設定されています。
前回のメンテナンスから10年程度経ったら、どんな外壁材を使っていたとしても点検するのがおすすめです。
塗料ごとの外壁メンテナンス時期
塗料ごとの外壁メンテナンス時期は以下の通りです。
塗料 | 外壁メンテナンスの時期 |
ウレタン | 8〜10年 |
シリコン | 10〜15年 |
フッ素 | 15〜20年 |
無機 | 20〜25年 |
以上が外壁塗装に使用されている塗料ごとの、外壁メンテナンス時期です。
ウレタンは費用を抑えられるというメリットがありますが、その分耐用年数は10年ほどしかありません。
耐用年数に優れているのは無機塗料ですが、こちらはかなり高額です。
外壁塗装の塗料を選ぶ際は、予算・耐用年数の両方を考える必要があります。
見つけたら外壁メンテナンスを検討すべきサイン
外壁は年月を重ねるごとに劣化していきます。劣化すると様々なサインが現れ、見つけたらすぐにでも外壁メンテナンスの検討が必要です。
ここでは見つけたら外壁メンテナンスを検討すべきサインを6つ紹介していきます。
外壁メンテナンスのサイン1.色褪せ
見つけたら外壁メンテナンスを検討すべきサイン、1つ目は外壁の色褪せです。
色褪せは紫外線や雨水で塗膜が劣化し、色が薄くなってしまう現象を指します。
特に日光が当たりやすい南面・西面は色褪せすることが多いので、度々チェックしてみると良いでしょう。
色褪せが起こっているからと言って、すぐに外壁メンテナンスを行わなくてはならないという訳ではありません。
「そろそろ業者を探すか」程度に考えておくのがおすすめです。
外壁メンテナンスのサイン2.苔・藻の発生
見つけたら外壁メンテナンスを検討すべきサイン、2つ目は苔・藻の発生です。
外壁の塗膜が劣化すると防水性能が下がり、表面が湿った状態になりやすいです。外壁表面が湿った状態だと、苔や藻が発生することも珍しくありません。
特に日当たりが悪くなりがちな北面や、川沿いに建てられた家には苔・藻が発生しやすいので定期的な外壁メンテナンスが必要です。
外壁メンテナンスのサイン3.チョーキング
見つけたら外壁メンテナンスを検討すべきサイン、3つ目はチョーキングです。
チョーキングとは紫外線や直射日光、雨によって起こる塗装表面の劣化を指します。壁面を手で触って白い粉のようなものがついてくると、既にチョーキングが起こっている証拠です。
チョーキングが起きていると防水性能が下がってしまうので、発見したら早めに外壁塗り替えを行いましょう。
外壁メンテナンスのサイン4.クラック
見つけたら外壁メンテナンスを検討すべきサイン、4つ目はクラックです。
クラックは窓の四隅や外壁の隅などに発生しやすい現象です。0.3mm以下はヘアークラック、0.3mm以上は構造クラックと呼ばれています。
構造クラックを発見した際には早急な対処が必要です。
コーキング材を使った下地作業が必要のため手間はかかりますが、建物を長持ちさせるためには早めに対処しましょう。
外壁メンテナンスのサイン5.塗膜の膨れ・剥がれ
見つけたら外壁メンテナンスを検討すべきサイン、5つ目は塗膜の膨れ・剥がれです。
塗膜の膨れ・剥がれは、外壁の塗膜が劣化することによって起こる現象です。このサインを見つけたら、外壁塗り替えを検討しましょう。
塗膜の膨れ・剥離を放置すると、隙間から外壁内部に雨水が侵入してしまい、外壁の劣化を進行させてしまいます。
塗膜の膨れ・剥離を見つけたらかなり劣化が進行していますので、早急な対処が必要です。
外壁メンテナンスのサイン6.シーリング部分の劣化
見つけたら外壁メンテナンスを検討すべきサイン、6つ目はシーリング部分の劣化です。
シーリングとは外壁材同士の継ぎ目や窓サッシ周りのゴムのことを指します。
このシーリングにヒビが入っていたら、劣化しているサインです。シーリングの打ち替え・外壁塗り替えを行いましょう。
シーリングが劣化していると、雨水が外壁材に入り込み、劣化の原因になるので早めに対処するのがおすすめです。
外壁メンテナンスの種類と費用相場は?
外壁メンテナンスといってもいくつか種類があり、費用の相場も異なります。
ここでは外壁メンテナンスの種類と費用相場を解説していきます。
汚れを洗浄!洗い落とす外壁メンテナンス
洗浄は外壁を高圧洗浄機やブラシで水洗いする外壁メンテナンス方法です。
費用はここで紹介する外壁メンテナンスの中では一番安く、3万円程度で行うことができます。
外壁についた汚れや苔・藻などを簡単に落とすことができますが、外壁が破損・劣化していると中に水が入り込んでしまう可能性があるので注意が必要です。
美しい外観を保ちたいという人は、定期的に外壁の洗浄を行っても良いでしょう。
機能を高める外壁塗装のメンテナンス
外壁塗装とは、その名の通り外壁に塗装を施す外壁メンテナンス方法です。
30坪の一般的な戸建て住宅であれば、100万円前後が相場となっています。工期は7〜10日ほどです。
外壁塗装は色を変えることで、手軽に外観のイメージを変えることができます。外観が変われば気分もリフレッシュされるでしょう。
しかし外壁塗装は、外壁の状態によっては施工できません。劣化が進んでしまうとさらに工事費がかかってしまいます。
手軽に外壁メンテナンスを行いたいという人におすすめです。
外壁を重ねるカバー工法のメンテナンス
カバー工法とは、今の外壁の上に新しい外壁を貼り付けるメンテナンス方法です。
主にサイディングなどの比較的軽量級の素材を貼り付けることで、外壁の欠損やヒビ割れに対処することができます。
30坪程度の一戸建て住宅であれば費用相場は120〜240万円ほどで、工期は10〜14日程度かかることが多いです。
カバー工法を行うと外壁が二重になるため、断熱性・遮熱性がアップするというメリットがあります。しかし外壁の重量が増えるので、耐震性が少し下がります。
少しでも外壁の性能をアップさせたいという人にはおすすめです。
メンテナンスでも特に大規模な外壁材の張り替え
外壁材の張り替えは、その名の通り従来の外壁を取り除き、新しい外壁に張り替えるメンテナンス方法です。
30坪程度の一戸建てで費用相場は180〜250万円程度、工期は17〜21日程度かかります。今回紹介した外壁メンテナンスの中では、一番費用・工期がかかる方法です。
しかし外壁を張り替えてしまうので、内部まで外壁を補修できるというメリットもあります。
「劣化・欠損している箇所が多いので全体的に直したい」という人におすすめです。
外壁メンテナンスをしないと何が起こる?
外壁メンテナンスは、定期的に行わないと建物の至る所で支障が出ます。では外壁メンテナンスを行わないとどうなるのでしょうか?
ここでは外壁メンテナンスをしないと何が起こるのかについて解説していきます。
雨漏りが発生する
外壁メンテナンスを行わないことで、雨漏りが発生する可能性があります。
外壁メンテナンスを行わずに外壁の劣化・欠損を放置しておくと、その部分から雨水が侵入し、雨漏りの原因になってしまうのです。
外壁は紫外線や雨によって日々ダメージを受けています。劣化していくと防水性が損なわれてしまうので、定期的にメンテナンスしましょう。
雨漏りが発生すると建物の寿命を縮めてしまうこともあるので注意が必要です。
外観が悪くなる
外壁メンテナンスを行わないと汚れが付着したままになるため、外観が悪くなるというデメリットもあります。
新築でも10年以上経つとほとんどの場合、外壁塗装の剥がれ・色褪せなど様々な症状が起きてきます。
見た目が悪くなると周囲の住人たちからの評判も下がりかねません。
良好なご近所付き合いをするためにも、定期的に軽い外壁洗浄を行うのがおすすめです。
修理費用が高額になる
外壁メンテナンスを行わないと、どんどん外壁の劣化が進んでしまい、修理費用が高額になってしまうことも多いです。
外壁の洗浄や塗り替え程度でしたらそこまで高額ではありませんが、外壁材まで劣化してしまうと莫大な費用がかかります。
一見異常がなさそうでも、専門家が見ると劣化しているという事例もあるので、10年を過ぎたら、専門業者に点検してもらいましょう。
外壁メンテナンスをするうえでの注意点
外壁メンテナンスの工法によっては何百万円もの費用がかかるので、絶対失敗したくはないでしょう。外壁メンテナンスには、いくつか注意点があります。
ここでは外壁メンテナンスに失敗しないための注意点を3点紹介していきます。
外壁メンテナンスに付け込む悪徳業者が存在する
外壁メンテナンスを提供している業者の中には、悪徳業者も存在しているので注意が必要です。
昔から相場よりも割高な費用を請求されたり、手抜き工事をされたりと悪徳業者による被害が多発しています。
急に「無料点検します。」と言って訪問し、家主の不安を煽って契約に結びつけるのが悪徳業者の手口です。
また大幅な値下げをしてくる業者にも注意が必要です。一見お得なように見えても、元の料金を引き上げて値下げを行っている可能性があります。
外壁メンテナンスを依頼する際には、実績が豊富・地域密着型の業者に依頼するのがおすすめです。
費用の相場を知るためにも、複数の業者から見積もりを取って比較するのも良いでしょう。
DIYでの外壁メンテナンスには危険が伴う
DIYで外壁メンテナンスを行うと危険が伴いますので、あまりおすすめはできません。
外壁メンテナンスの費用は高額です。そのため安く済ませようとして、DIYを検討する人も多いでしょう。
外壁メンテナンスには、専門知識が必要です。そのため知識・経験がない初心者が自分で外壁メンテナンスを行ってしまうと失敗してしまうこともあります。
また高所での作業が伴うことも多いので、怪我をしてしまうリスクもあります。
失敗・怪我をしてしまうとかえって費用がかさんでしまうので、知識・経験がないという人は専門業者に依頼するのがおすすめです。
メンテナンスフリーの外壁素材は存在しない
外壁材にはメンテナンスフリーの素材は存在しません。
外壁メンテナンスには費用・手間がかかるので、メンテナンスがいらない素材を探している人もいるでしょう。
現在ではメンテナンスフリーの素材は存在しませんが、タイル・樹脂系サイディングなどそれに近いものはあります。
これらの外壁材は耐用年数が長くて丈夫ですが、一般的な外壁材の2〜3倍もの費用がかかります。
また耐用年数内であればメンテナンスフリーというわけではなく、10年ごとに目地の補修が必要です。
基本的に外壁は定期的なメンテナンスが必要だと把握しておきましょう。
外壁メンテナンスのまとめ
今回は外壁メンテナンスを行う時期、費用相場、工法の種類、注意点などについて解説してきました。
この記事のまとめ
- 外壁メンテナンスを行う時期は外壁材・塗料によって異なる
- 外壁メンテナンスの費用相場は工法によって異なる
- 外壁メンテナンスを行わないと、建物の寿命を縮めてしまう
- 専門業者の中には悪徳業者も存在するので注意が必要
外壁は常に紫外線や雨水に晒されているので、日々劣化していきます。
外壁の劣化を放置してしまうと機能性を下げてしまい、建物の寿命を縮めてしまいかねません。
今住んでいる住宅で快適に暮らしていくためにも、定期的な外壁メンテナンスを行いましょう。
定期的に外壁メンテナンスを行うことで、費用を抑えることにも繋がります。