賃貸アパートの改修工事について知りたい人
アパートの改修工事では何をする?
賃貸アパートの改修工事にかかる費用は?
賃貸アパートの改修・修繕工事は大規模修繕でまとめて行うのがお得?
賃貸アパートにおける大規模修繕の実施時期はいつ?
賃貸アパートの補修工事は定期的に行うのがいい?
アパートやマンションの管理を行っている方にとって、大規模修繕や改修工事は避けられない重要な課題です。特に賃貸アパートを所有している方で、修繕・改修工事について適切な時期や費用の相場がわからない方も多いのではないでしょうか。
大規模修繕の時期や修繕費用の目安は、建物の状態や築年数によって異なりますが、一般的には築10〜15年に検討を始めることが多いです。「いつ実施すべきか」「どの程度の費用がかかるのか」という疑問は、多くのオーナーが抱える悩みです。
修繕費の相場は建物の規模や工事内容によって大きく変わりますが、適切な時期に改修工事を行うことで、長期的には費用を抑えることができます。また、信頼できる修繕工事会社を選ぶことも重要です。
本記事では、アパートの大規模修繕や改修工事の内容・実施時期・費用目安などについて、さらには工事会社の選び方についても触れていきます。
目次
アパート修繕・改修工事の内容
アパートの修繕・改修工事の内容には、以下のようなものがあります。
- 外壁・天井
- 窓枠と壁の境目・壁同士の継ぎ目部分
- 鉄部
- 共用部(階段・外廊下)
- 屋上・バルコニー
徐々に劣化していくことが避けられないさまざまな部分について、耐用年数や劣化状態に合わせて修繕・改修工事を行っていく必要があります。
ここからは、それぞれの工事内容について詳しく紹介するので、確認してみてくださいね。
アパート修繕・改修工事の内容1.外壁・天井
外壁・天井は、汚れやひび割れ、塗膜の剥がれなどの劣化症状が徐々に表れてきます。
外壁・天井の劣化は雨漏りにもつながるもので、建物全体に悪影響を及ぼす可能性があるため、放置しておくことは危険です。
外壁の劣化は建物全体の見た目に影響し、古い・汚いなどの印象を与えてしまうことにもなります。
劣化した外壁・天井に対して行うのは、下地の補修や塗装などの工事です。
剥がれやひび割れを下地補修工事によってしっかりと埋めて、最後は全体的に塗装して建物の美観を保ちます。
アパート修繕・改修工事の内容2.窓枠と壁の境目・壁同士の継ぎ目部分(シーリング)
窓枠と壁の境目・壁同時の継ぎ目部分には、シーリングと呼ばれる防水材が使用されています。
シーリングとは窓枠や継ぎ目などの隙間を埋める際に使用される材料で、防水のほかにも地震などによる衝撃を緩和させる効果もあります。
シーリングは、経年劣化により徐々に弾力性を失ったりひび割れが発生したりして、本来の効果を発揮することができません。
そのためシーリングの劣化症状を放置していると、
- 地震の際の衝撃を緩和する力が弱まり建物に大きなダメージを与えてしまう
- ひび割れ部分が雨の侵入経路となって雨漏りが発生する
などのさまざまなリスクが高まります。
シーリング部分の修繕工事では、劣化した既存のシーリングを取り除き、新しいシーリング材を充填します。
アパート修繕・改修工事の内容3.鉄部
鉄部には、どうしても経年劣化によってサビが発生してしまいます。
劣化を放置しているとサビが進行して、塗膜が剥がれたり腐食したりして折れや割れなどの破損につながります。
初期のサビであれば建物の美観を損ねる程度ですが、放置して腐食が起こると鉄部が破損し非常に危険です。
鉄部の修繕工事は、劣化の進行状態によっても異なります。
鉄部の腐食が始まっていた場合は、修繕は不可能であり部品をすべて交換する大規模な工事が必要です。
初期のサビであれば、サンドペーパーを使用してサビた部分の塗膜を除去し、塗装工事を行います。
この際サビが残ったままではまた徐々に広がっていってしまうため、しっかりとサビた部分の除去を行うことが重要です。
鉄部の塗装には、サビ止め材が含まれた専用の下塗り材が使用されます。
アパート修繕・改修工事の内容4.共用部(外廊・階段)
廊下や階段などの共用部は、毎日たくさんの人が歩行するため劣化が起こりやすいです。
階段や廊下に使用されている防水シートには、歩行の衝撃や摩擦の影響で汚れ・浮き・剥がれなどの劣化症状が現れてきます。
このような劣化症状は歩行時の転倒などの事故や雨漏りなどのリスクを高めるため、修繕・改修工事が必要です。
アパート階段の修理・修繕・改修工事では、使用されていた既存の防水シートを撤去し、新しいシートを設置します。
防水シートの端の部分は剥がれや浮きが起こりやすいため、しっかりと接着することがポイントです。
アパート修繕・改修工事の内容5.屋上・バルコニー
屋上やバルコニーは雨の影響を最も受ける部分で、ウレタンやシートなどのさまざまな材料によって防水工事が行われています。
劣化症状は防水材によっても異なりますが、ひび割れや剥がれはどの防水材でも見られるわかりやすい劣化症状です。
防水材のメンテナンスをしっかり行うことは、防水機能を維持して建物全体を守るためにも重要です。
大規模修繕でベランダ・バルコニーのタイル修繕は必要?
大規模修繕の際にベランダやバルコニータイルの修繕は、建物の美観や安全性を保つために大切です。タイルは経年劣化や外部からの影響で剥がれや浮きが発生することがあり、この状態を放置すると、落下による事故や水分の浸入が起こって建物全体に悪影響を及ぼすリスクが高まります。
また、タイル浮きが生じると、その隙間から水が入り込み、内部の防水層がダメージを受け、劣化が進行してしまいます。バルコニーは居住者が使用するスペースであるため、安全性を保ちつつ快適な空間を提供するためにも、タイルの定期的な点検と必要に応じた修繕が求められます。
アパート修繕・改修工事の内容6.設備機器の交換
アパートの設備機器は、経年劣化によって故障や不具合が発生しやすくなります。
入居者の快適な生活を維持するためにも、定期的な修繕工事・改修工事が必要です。
電気設備
アパートの大規模修繕では、電気設備に関する以下の工事が行われます。主な内容は以下の通りです。
- 電力幹線の容量不足解消
- 配電盤や電灯、コンセントの修繕・交換
- 共用部分のLED照明への交換
- 電気幹線設備の改修
- オール電化への変更
上記以外にも、電気設備に関する様々な工事が行われる場合があります。
- 分電盤の増設
- 屋外コンセントの設置
- 電気自動車用充電設備の設置
これらの工事を行うことで、アパートの安全性や快適性を向上させることができます。
機械設備
アパートの修繕・改修工事において、機械設備の交換は重要な項目です。
機械設備の交換時期や修繕のタイミングは、種類や使用状況によって異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。
給排水設備 | 交換・修繕の目安 | |
排水管 | 5~10年ごとに高圧洗浄 | |
給水管・排水管 | 25~30年で交換 | |
給湯設備 | 10年程度で交換 | |
浴室設備 | 25年程度で交換 | |
空調設備 | 空調機器・換気設備 | 15年程度で交換 |
エアコン | 10年を超えたら交換を検討 | |
ガス設備 | ガス配管 | 15年~30年で交換 |
オール電化→ガス併用/オールガス | 大規模修繕のタイミングで検討 | |
その他の機械設備 | エレベーター | 20~25年程度で交換 |
消火器 | 設置から10年で交換 | |
屋内消火栓 | 18~20年で交換 | |
自動火災報知設備 | 10~20年で交換 |
アパートの大規模修繕では、各設備の耐用年数や劣化状況に基づいて修繕・交換を行います。
設備ごとに交換の目安が異なるため、事前に計画的に修繕積立金を積み立てておくことが重要です。
改修工事を見据えたアパート大規模修繕の費用相場
マンションの大規模修繕は一般的に12年ごとの実施が推奨されています。しかし、現在では15年ごとや18年ごとに大規模修繕を実施するマンションが増えてきています。
賃貸物件やアパートの場合、大規模修繕の実施時期や工事範囲はオーナー自身が決めることができます。
しかし、賃貸物件やアパートも、マンションと同様に大規模修繕の実施時期を定めておくのがおすすめです。
実施時期を定めておくことで、いつまでに費用を用意しておけばいいのか、という把握ができるからです。
以下では、アパートに行う大規模修繕の費用相場を解説していきます。
アパートの大規模修繕で発生する工事費用相場
大規模修繕には高額な費用がかかると再三言ってきましたが、具体的にどのくらいの費用がかかるのか気になりますよね。
大規模修繕の費用は、築年数によっても異なります。
築年数ごとの費用相場を表にまとめたので、参考にしてくださいね。
築年数 | 価格 | 戸あたり |
築5〜10年 | 約90万円 | 約9万/戸 |
築11〜15年 | 約640万円 | 約64万/戸 |
築16〜20年 | 約230万円 | 約23万/戸 |
築21〜25年 | 約980万円 | 約98万/戸 |
築26〜30年 | 約230万円 | 約23万/戸 |
工事を行う部分や劣化の状態によって、かかる費用が変わってきます。
台風などで被害に遭った場合は、これに加えてさらに修繕費用が必要となるでしょう。
アパート一棟の築30年までの間には、1000万円を超える修繕費用が必要です。
アパート修繕・改修工事における実施時期の目安
アパートのさまざまな部分に対して修繕・改修工事が必要であるとわかったところで、気になるのは「どのくらいの頻度で工事を実施するべきなのか」ですよね。
ここでは、先ほど紹介した修繕・改修工事が必要となるそれぞれの部分について、工事の実施時期の目安を紹介します。
わかりやすく表にまとめたので、ぜひチェックしてみてください。
施工場所 | 修繕・改修工事時期の目安 |
外壁・天井 | 約10〜12年 |
窓枠と壁の境目・壁同士の継ぎ目部分 | 約10〜12年 |
鉄部 | 約4〜6年 |
共用部(階段・外廊下) | 約10〜12年 |
屋上・バルコニー | 修繕:5年ごと(トップコートの塗り替え)改修:約10〜12年 |
電気設備 | 約10〜12年 |
給排水設備 | 修繕:約5〜10年ごと交換:約25〜30年ごと |
空調設備 | 交換:約15年ごと |
ガス設備 | 交換:約15〜30年ごと |
ほとんどの部分で、10〜12年ほどで修繕・改修工事が必要となってくることがわかります。
10年ごとを目安として、アパートのさまざまな部分に工事を検討すると覚えておきましょう。
しかしアパートの中でも鉄部は特に劣化スピードが速く、4〜6年で工事が必要となるため注意が必要です。
アパート修繕・改修工事を見据えた大規模修繕の実施時期目安
以下の表は、アパートの大規模修繕の実施時期を築年数と回数ごとにまとめたものです。
大規模修繕の回数 | 築年数 |
1回目 | 13~16年 |
2回目 | 26~33年 |
3回目 | 27~45年 |
アパートの大規模修繕は12〜15年ごとに行うのが理想ですが、建物の状態で実施を判断しましょう。
ただ、建物の状態で実施を判断すると言われても、判断基準がないと困りますよね?
例えば、屋上やバルコニーで色褪せなどの劣化が確認できた場合や、外壁の汚れ・ひび割れがある場合に、工事を行うのがおすすめです。
ただ、激しい劣化や破損に関しては、大規模修繕を待たず、早めに手を打ちましょう。劣化や破損を放置すればするほど、大規模な工事が必要となったり建物の寿命を縮めたりします。
高額な費用が必要となる大規模修繕はなるべく回数を減らしたいと考える方もいますが、しっかり建物の状態を判断しながら定期的に行うことが重要です。
アパートに行う修繕工事の種類
アパートに必要となる修繕工事には、主に以下の3つの種類があります。
- 原状回復
- 小規模修繕
- 大規模修繕
これらの修繕工事は、アパートの状態や必要となる工事の内容から判断して行います。
ここでは、それぞれの修繕工事がどのようなものなのかについて詳しく解説します。
原状回復
原状回復で行うのは、
- ハウスクリーニング
- 壁紙の張り替え
- フローリング・畳の張り替え
- 網戸の交換
などの簡単な工事です。
基本的には入居者が退去したタイミングで行う修繕のことで、入居時と同じ状態に戻すことを目的としています。
次の入居者が綺麗な状態で入居できるよう、原状回復を行います。
小規模修繕
小規模工事には、
- 故障した設備の修理
- シロアリ予防剤の散布
- コーキング打ち替え
などを行う工事が該当します。
設備や建物の劣化や故障が起きた際など、必要に応じて行う工事です。
入居者からの要望によって行う場合もあれば、完全に破損する前に予防的に行うこともあります。
小規模修繕を定期的に行なっておくことで、大規模修繕にかかる費用の節約にもつながります。
大規模修繕
大規模修繕は、
- 外壁工事
- 防水工事
などを行う、施工期間の長い大規模な工事のことを言います。
長期計画を立てたり高額な費用を積み立てておいたりと、事前の準備が欠かせません。
アパート(賃貸物件)の大規模修繕は、時期は指定されていないため所有者の一存で決定します
修繕・改修・補修の違い
「修繕」「改修」「補修」は、実は微妙に異なる意味を持った言葉です。
修繕工事 | 改修工事 | 補修工事 | |
意味 | 建物の劣化した部分を新築の状態に近づけること | 建物の性能をグレードアップさせること | 建物の経年劣化した部分を元に戻す工事のこと |
ここでは、それぞれの意味を解説していきます。
修繕
修繕は、建物の劣化した部分を新築の状態に近づけることを意味します。
新築当時に近い材料を使用して、修繕を行なっていきます。
定期的に修繕工事を行なっていくことで、建物全体の寿命を伸ばすことが可能です。
改修
改修は、建物の性能をグレードアップさせることを意味します。
つまり、新築当時よりもさらに優れた状態へと建物を改良するようなイメージです。
- バリアフリー
- 省エネ化
- 断熱性を高める
など、新しい機能を追加する工事が該当します。
新築当時にはなかった最新の設備を導入することも、改修工事のうちのひとつです。
補修
補修は、建物の経年劣化した部分を元に戻す工事のことを言います。
修繕と似ていますが、補修は「不具合が発生したらその都度直す」という意味が強いです。
建物のさまざまな部分の経年劣化は避けられないものですが、それを放置していると劣化が広がり建物への影響も大きくなってしまいます。
周りへの悪影響を予防し建物の寿命を伸ばすためにも、劣化は初期のうちに直してしまうことが効果的です。
小さな修理で済むうちに劣化症状を直していく「補修」をこまめに行うことで、建物の寿命を伸ばし大規模な工事を減らすことができます。
修繕工事や改修工事をアパートに行うメリット
アパートの改修工事や修繕工事は、事前準備や高額な費用負担などオーナーにとって大きな負担でもあります。
しかし、これらの工事を行うメリットはオーナーにとっても数多くあります。
- 高い入居率を確保
- 住環境がよくなる
- 家賃水準の確保
- 建物の寿命を維持する
- 資産価値が高まる
ここでは、以上の5つのメリットについて詳しく紹介していきます。
アパート修繕工事や改修工事のメリット1.高い入居率を確保
オーナーにとって、アパートの空室は絶対に避けたい問題ですよね。
築年数がたって古くなった建物は、修繕を行わない限りどうしても古い・汚いというイメージが拭えません。
外観・室内ともに古い印象を与えてしまうと、入居希望者が減り空室も増えてしまいます。
改修・修繕工事によって建物の見た目や室内の設備を整えると、印象は大きく変わって高い入居率を確保することができるでしょう。
アパート修繕工事や改修工事のメリット2.住環境がよくなる
住環境の良さは、入居者にとってとても重要な問題です。
例えば、防音性が低い家やセキュリティー設備がほとんどない家は、いくら家賃や立地が魅力的でも住むことをためらう人が多いでしょう。
一度住んでみたものの住み心地が悪いとなれば、すぐに転居してしまうことも考えられます。
定期的な改修・修繕工事で住環境を整えれば、入居希望者数の維持や長く住んでもらえることにもつながります。
アパート修繕工事や改修工事のメリット3.家賃水準の確保
改修・修繕工事によって住環境が良くなれば、築年数がたっていてもある程度の家賃水準を確保することができます。
住み心地のいい家に対しては、築年数に関わらずある程度の家賃を払っても住みたいと考える方が多いです。
改修・修繕工事の費用をケチって空室が増えたり家賃を下げたりするよりも、修繕を行いながら入居率や家賃水準を維持することで収入をキープするほうが、結果的にお得です。
アパート修繕工事や改修工事のメリット4.建物の寿命を維持する
改修・修繕工事を定期的に行うことによって、建物の寿命を伸ばすことができます。
建物の寿命が伸びるということは、その分長期間に渡って収入を得られるということにつながります。
特にローン返済を終えた後は、それまで支払いしていた金額分も純粋な収入となるため、オーナーにとって魅力的な時期です。
ローンの支払いが終わってすぐにアパートの建て替えが必要となれば、また多額のローンを抱えることになります。
建物の寿命を伸ばすことで、ローン返済を終えてからの収入を最大限に得られる時期を、長く満喫することができるでしょう。
アパート修繕工事や改修工事のメリット5.資産価値が高まる
オーナーにとって、所有している建物は資産です。
その建物の資産価値を高めることは、オーナーにとって大きなメリットだと言えるでしょう。
改修・修繕工事を行いながら長く建物としての価値を維持することで、賃料や売却時の金額などに大きな影響を与えます。
改修・修繕工事によって居住環境を整え資産価値を上げることは、結果的に物件の収益を上げることにもつながるのです。
アパート修繕・改修工事は大規模で行うのがお得
アパートの修繕・改修工事は、大規模になればなるほど高額な費用が必要となります。
費用を分散するために、アパートの修繕工事を気になるところから少しずつ行うというオーナーの方も多いです。
しかし実は、アパートの修繕・改修工事は一度に全体をまとめて行うことが、結果的に費用総額をお得にできるポイントです。
アパートの修繕・改修を行う際は、工事のための足場を作り作業後に解体するという作業が行われます。
この足場工事にも費用が発生しているため、気になる箇所の工事を何度も行うと、この足場工事にかかる費用が重なっていきます。
一度に全体の工事を行えばその時の費用は高額になるものの、足場工事にかかる費用は1回分で済むため、結果的に工事の合計金額としてはお得になることがほとんどなのです。
このような理由から、計画的に修繕・改修工事に必要となる費用を用意しておき、工事はまとめて大規模で行うことをおすすめします。
アパートの修繕・改修工事費を賄う方法
アパートにかかる修繕費用を見て、「想像以上に高い」「アパートの家賃収入が消えてしまう」などと不安に感じた方もいるのではないでしょうか。
それでも建物の価値を維持して家賃収入を維持するためには、定期的な修繕は欠かせません。
まとまったお金がないからと修繕を後回しにすれば、入居者が減ったり建物の寿命が短くなったりして悪循環に陥ります。
そのような事態を阻止するためにも、修繕費を賄うための方法を知っておきましょう。
アパート修繕・改修工事の費用を積み立てる
多くの方が採用している方法として、修繕が必要となる前から修繕費を毎月積み立てておく方法があります。
この方法であれば長い期間をかけて修繕費を準備すればいいので、毎月の負担額は比較的少ないです。
家賃収入の中から一定額を決めて、金融機関などを利用して積み立てておきましょう。
アパート修繕・改修工事向けのリフォームローン利用
大規模修繕を行うための費用は、金融機関からの借り入れを行うこともできます。
リフォームローンは、住宅の改修や増築などのための費用を扱うもので、アパートのオーナーも利用可能です
どうしても修繕の時期までにまとまった費用を準備できない場合は、借り入れを検討することもひとつの手です。
ただし、リフォームローンは500万円を上限とする機関が多いので注意が必要です。
また、借り入れを行えば当然その後は返済していかなければいけません。
リフォームローンを利用する際は、その後返済を問題なく行なっていけるのかをしっかりと考えてくださいね。
アパート改修工事を含む大規模修繕の費用を抑える方法
大規模修繕の費用は、数十万円から数百万円と高額になり、負担となる場合があります。
そこで、大規模修繕の費用を抑える方法をいくつかご紹介します。
- 補助金や助成金を活用する
- 建物診断を行う
- 長期修繕計画を立てる
- 修繕積立金を必ず行う
- 新築アパートの場合は修繕費用も計画に入れた建築プランを立てる
- 複数の会社に工事依頼をする
大規模修繕の費用を抑えるためには、事前に計画的に準備することが重要です。
修繕積立金を計画的に積み立て、複数の業者から見積もりを取り、工事内容を精査するなど、様々な方法を組み合わせて費用を抑えましょう。
補助金や助成金を活用する
アパートの修繕にあたっては、集合住宅を対象としたリフォーム補助金や助成金の制度が利用できる場合があります。
制度には予算や条件、募集期間などがあるため、修繕を検討している際はまず利用できる補助金や助成金がないか調べてみましょう。
制度によっては、「耐震性を高めるための工事」「省エネ性を向上する工事」などの条件下で利用できるものもあります。
細かい条件がある場合も多いので、利用したい制度があれば工事を行う前にしっかりと確認しましょう。
建物診断を行う
賃貸アパートの大規模修繕をスムーズに行うには、建物診断を受けることが重要です。
建物診断とは、建築会社や専門の建物検査会社が行う調査で、アパートの現状把握や劣化状況を調べます。
建物診断には、以下のようなメリットがあります。
- 劣化防止に必要な補修工事の提案
- 補修工事の内容と実施スケジュールの策定
- 補修工事に必要な費用の見積もり
- 長期的な修繕費用の節約
建物診断の費用は、10〜20戸程度の小規模なアパートなら6〜10万円程度です。
大規模修繕前に建物診断を行い、必要な補修箇所を把握することで、スムーズかつ効率的な修繕が可能となり、長期的な修繕費用の節約にもつながります。
長期修繕計画を立てる
長期修繕計画とは、マンションなどの建物を長期にわたって維持管理していくために、必要な修繕工事とその時期、費用などを計画的に定めたものです。
一般的には、築後12年以内に作成し、その後定期的に見直しを行うことが推奨されています。
長期修繕計画を立てることで、以下のメリットがあります。
- 将来の修繕費用を予測し、計画的に修繕積立金を準備できる
- 修繕工事の必要時期を把握し、事前に準備できる
- 建物の資産価値を維持できる
- 修繕に関する住民間のトラブルを回避できる
長期修繕計画は、マンションを長期的に維持管理していくために欠かせないものです。
まだ作成していない場合は、早急に作成することを検討することをおすすめします。
修繕積立金を必ず行う
修繕積立金は、将来のマンションの大規模修繕工事のために積み立てるお金です。
修繕積立金を行う理由は、以下のとおりです。
- マンションは経年劣化によって、必ず修繕工事が必要になる
- 大規模修繕工事には多額の費用がかかる
- 修繕積立金を事前に積み立てることで、将来のまとまった出費に備えられる
- 修繕積立金を適切に管理することで、建物の資産価値を維持できる
修繕積立金は、絶対に滞納してはいけません。
修繕積立金を滞納すると、修繕工事を実施できなくなり、建物の劣化が進んでしまいます。
建物の劣化を放置すると、将来の住民に負担が大きくなり、管理組合の運営が困難になるでしょう。
修繕積立金の額は、マンションの規模や築年数、修繕履歴などによって異なります。
一般的には、毎月の管理費と合わせて、月額1万円~2万円程度が目安とされています。
修繕積立金は、マンションを長期的に維持管理していくために必要なものです。
滞納することなく、必ず支払うようにしましょう。
新築アパートの場合は修繕費用も計画に入れた建築プランを立てる
新築アパートの場合は、将来の大規模修繕を考慮した建築プランを立てることが重要です。
建築プランを立てる場合、以下のポイントを押さえておきましょう。
- 将来必要な修繕工事の時期や内容、費用をあらかじめ見積もっておく
- 住戸数や面積、階数、使用する建築材料によって修繕費用は異なる
- 高品質でメンテナンスフリーの建材を使用したほうが、長期的に見るとコストが安くなる場合もある
- 建築時に修繕費用としてある程度予算取りしておく
建築費用だけでなく、修繕費用まで考えたプランを採用することで、長期的なコストを抑えることができます。
複数の会社に工事依頼をする
複数の会社に工事依頼をすることで、大規模修繕の費用を抑えることができます。
複数の会社に依頼すると、以下のようなメリットがあります。
- 相見積もりを取ることによって、費用を比較検討できる
- 複数の会社の提案を比較することで、より良い工事内容を選択できる
- 業者同士の競争が働き、費用が安くなる可能性がある
ただし、複数の会社に依頼する際には、必ず信頼できる業者を選ぶことが重要です。
複数の業者から見積もりを取り、見積もり内容をしっかりと比較検討しましょう。
大規模修繕工事の経験が豊富な会社や、地元の会社を選ぶことがポイントです。
アパートの改修工事・修繕工事の依頼先
アパートの改修工事・修繕工事の依頼先は、大きく分けて以下の4つがあります。
- ハウスメーカー・建設会社
- 管理会社
- ゼネコン
- 専門工事業者
このように、アパートの改修工事・修繕工事の依頼先には、いくつかの選択肢があります。
それぞれのメリットとデメリットを理解した上で、自分に合った業者を選びましょう。
アパートの改修工事・修繕工事の依頼先|ハウスメーカー・建設会社
ハウスメーカーや建設会社は、改修よりも新築をメインとしています。
したがって、築年数の経った建物への修繕のノウハウを持ち合わせていないことが多いです。
多くの場合、大規模修繕を得意とする施工会社に丸ごと外注することになり、その際1~2割のマージンが発生するケースも珍しくありません。
改修工事や修繕工事は専門知識が必要なので、実績のある会社に直接相談するのがよいでしょう。
アパートの改修工事・修繕工事の依頼先|管理会社
管理会社には、2つのタイプの管理会社が存在します。
1つは日常の補修・原状回復リフォームのみの経験で、大規模修繕には消極的なタイプ、もう1つは、設計部門を社内に抱え、積極的に大規模修繕を提案するタイプです。
どちらのタイプも工事を外注するケースが多く、中間マージンが発生するため、費用が高くなる可能性があります。
管理会社は、日頃からマンションを管理しているので、マンションのことを熟知しており、施工後も日頃の管理業務と合わせてアフターフォローしてもらえます。
ただし、対応できる工事規模の制限があり、社内・グループ内に工事部門がない場合は、費用が高くなる可能性があるので注意が必要です。
管理会社に相談する場合は、2つのタイプがあることを理解した上で、複数の業者から見積もりを取ることをおすすめします。
アパートの改修工事・修繕工事の依頼先|ゼネコン
ゼネコンは、大規模な改修工事・修繕工事や、一括で依頼したい場合におすすめです。
ただし、費用が高い傾向があるため、複数の業者から見積もりを取ることをおすすめします。
また、実際に施工するのは下請け業者であるため、下請け業者の実績も確認しておきましょう。
アパートの改修工事・修繕工事の依頼先|専門工事業者
専門工事業者に依頼した場合は、高品質な施工を期待でき、費用を抑えられる可能性があります。
特定の工事に特化しているので技術力が高く、ゼネコンに比べて費用を抑えられます。
小規模な工事にも対応してくれるでしょう。
ただし、一括で依頼できない場合や、対応エリアが限定される場合があるため、事前に確認が必要です。
アパート改修工事・修繕工事のまとめ
ここまで、アパートの改修工事・修繕工事について解説してきました。
この記事の要点は、以下のとおりです。
- アパートの改修工事・修繕工事は、建物の価値を維持し、入居率を高めるために必要不可欠
- アパートの改修工事・修繕工事には、原状回復、小規模修繕、大規模修繕の3つの種類がある
- 改修工事・修繕工事の実施時期や費用は、工事の種類によって異なる
- 改修工事・修繕工事の依頼先は、ハウスメーカー・建設会社、管理会社、ゼネコン、専門工事業者がある
- それぞれのメリットとデメリットを理解した上で、自分に合った業者を選ぶことが重要
アパートの改修工事・修繕工事は、建物の価値を維持し、入居率を高めるために必要不可欠です。
工事の種類、実施時期、費用、依頼先などを理解した上で、適切なタイミングで適切な工事を実施しましょう。
アパート修繕・改修工事|施工実例
東京都板橋区Tコーポ
工事内容
- 仮説足場工事
- 下地補修工事
- シーリング工事
- 洗浄工事
- 塗装工事(外壁・屋根・天井・鉄骨階段など)
- 防水工事
- 長尺シート工事
福島県いわき市Mアパート
工事内容
- 仮説足場工事
- 洗浄工事
- シーリング工事
- 洗浄工事
- 塗装工事(外壁・屋根・バルコニーなど)
東京都江戸川区Gアパート
工事内容
- 仮設足場工事
- 溶接工事
- 洗浄工事
- シーリング工事
- 塗装工事(外壁・瓦屋根・軒天など)
- 防水工事(バルコニー)
- 長尺シート工事