外壁塗装の品質は塗料の選び方に大きく影響されます。この記事では、外壁塗装に適した塗料の種類や選び方、効果を詳しく解説します。
目次
なぜ外壁塗装の塗料選びが重要なのか
まずは、外壁塗装の塗料選びが重要と言われる理由について解説します。外壁塗装の塗料の役割や塗装の目的について理解しておきましょう。
外壁塗装の目的と役割
外壁塗装は、建物を雨水、紫外線、風、汚れなどの外部要因から保護し、美観を維持するために行われます。
外壁は、これらの要因にさらされているため、塗装をすることで劣化や損傷を防ぐことができます。
塗料には、さまざまな種類があり、それぞれに異なる性能や特徴があります。適切な塗料を選ぶためには、建物の用途や立地条件、予算などを考慮することが大切です。
耐久性の高い塗料を選ぶことで、外壁の塗り替え頻度を減らすことができるでしょう。また、建物を雨水や湿気から守ることもできます。
美観を重視する方は、色や質感の良い塗料を選ぶと良いでしょう。
外壁塗装の塗料の役割
外壁塗装の塗料は、建物の耐久性や美観維持に重要な役割を果たします。
外壁を保護する役割
まず、塗料は外壁を保護する役割を担っています。外部の環境からの影響やダメージを軽減し、建物の耐久性を向上させます。
塗料の層が外壁を覆うことで、雨水や紫外線、風、汚れなどの悪条件から建物を守ってくれます。さらに、塗料によって防水性や防腐性を高めることも可能です。
美観維持の役割
外壁塗装の塗料は美観維持の役割も果たします。適切な色合いや質感を持つ塗料を選ぶことで、建物の外観を美しく仕上げることができます。
外壁は建物全体の印象を左右する重要な要素であり、塗料の色や仕上がりが建物の個性やスタイルを表現します。
適切な塗料を選ぶことで、建物の美しさや価値を保ち、長期間にわたって美観を維持できるでしょう。
適切な塗料選びの影響
適切な塗料を選ぶことは、外壁塗装の品質と耐久性に大きな影響を与えます。塗料には、さまざまな種類があり、それぞれに異なる性能や特徴があります。
建物の用途や立地条件、予算などを考慮して、建物に最適な塗料を選ぶことが大切です。
適切な塗料を選ぶことで、次のようなメリットがあります。
- 外壁の耐久性と耐候性を向上させ、長持ちさせることができる
- 外壁の防水性を高め、雨水や湿気から守れる
- 外壁の美観を向上させ、価値を高めることができる
- 塗り替えの頻度を減らし、メンテナンスの手間が省ける
このように、適切な塗料を選ぶことで、外壁塗装の効果を最大限に引き出すことができます。
<h2>外壁塗装塗料の主な種類</h2>
ここでは、外壁塗装に使用される塗料の主な種類を取り上げています。それぞれの塗料の特性と適用場面を確認しておきましょう。
アクリル塗料
アクリル塗料は、アクリル樹脂を主成分とする塗料で、1950年代に開発されました。発色が良く、塗りやすいことから、当時の建築現場でよく使用されていました。
しかし、その後、ウレタン樹脂塗料やアクリルシリコン樹脂塗料など、より高性能な塗料が開発され、需要は減少しています。
以下にアクリル塗料の特性と適用場面を説明します。
アクリル塗料の特性
アクリル塗料は、水性塗料と油性塗料の中間的な特性を持ちます。そのため、乾燥後の塗膜の硬さや耐久性は、油性塗料に比べると劣りますが、水性塗料に比べると優れています。
アクリル塗料は、乾燥後に塗膜が白くなる「白化現象」という問題がありますが、近年のアクリル塗料は改良が進んでおり、白化現象が起こりにくくなっています。
アクリル塗料の適用場面
アクリル塗料は、屋外用途にはあまり適していませんが、屋内用途には適しています。具体的には、壁や天井、木製品、金属製品などに使用されます。
また、アクリル塗料は、水性であるため、塗料の臭いが少なく、塗りやすいため、DIY塗料としても人気があります。
ただし、アクリル塗料には、耐久性が低いため、屋外用途にはあまり適していません。
特に、直射日光や雨風などの影響を受けやすい場所では、耐候性が高いウレタン塗料やシリコン塗料を選ぶことが望ましいでしょう。
シリコン塗料
シリコン塗料は、シリコン樹脂を主成分とする塗料です。シリコン樹脂は、外壁塗装に広く使用されています。
以下にシリコン塗料の特性と適用場面を説明します。
シリコン塗料の特性
シリコン塗料は、耐久性や耐候性に優れており、紫外線や雨風などの外的要因にも強く、塗膜の劣化が起こりにくいという特性があります。
また、シリコン塗料は、防水性にも優れており、防水効果が期待できます。さらに、シリコン塗料は、汚れがつきにくいため、外壁のメンテナンスが容易になります。
シリコン塗料の適用場面
シリコン塗料は、防水性に優れているため、屋根やバルコニー、駐車場などの水がかかる場所にも使用できます。
特に、雨風や紫外線などの影響を受けやすい場所に適しており、耐久性が求められる場所にも使用されます。
ただし、シリコン塗料は、耐久年数が10年程度と比較的短いため、より長期間の耐久性が必要な場合は、ウレタン塗料やフッ素塗料などの高性能な塗料を選ぶことが望ましいでしょう。
また、塗料の種類や品質によって耐用年数に差があるため、選定には注意が必要です。
フッ素塗料
フッ素塗料は、主成分としてフッ素樹脂を使用する塗料です。
以下にフッ素塗料の特性と適用場面を説明します。
フッ素塗料の特性
フッ素塗料は、紫外線や雨風といった外的要因に強い耐久性と耐候性を持っています。そのため、塗膜の劣化が起こりにくく、長期間にわたって美しい仕上がりを維持します。
また、フッ素塗料は汚れがつきにくく、防汚効果もあります。耐薬品性や耐摩耗性にも優れており、塗膜の硬さや耐久性に対する要求が高い場面に適しています。
フッ素塗料の適用場面
フッ素塗料は、外壁塗装に広く使用されています。特に、耐久性が求められる場所や、塗り替え回数を少なくしたい場合に適しています。
また、フッ素塗料は防汚効果が期待できるため、汚れが目立ちやすい場所や高層ビルの外壁など、メンテナンスが困難な場所にも使用されます。
ただし、フッ素塗料は価格が高いため、一般的な住宅への使用はあまり一般的ではありません。また、塗膜が硬いため、ひび割れに弱いというデメリットもあります。
そのため、建物の構造や地盤沈下など、予測される変動に対して適切な対策を行う必要があります。
ウレタン塗料
ウレタン塗料は、耐久性や耐候性に優れた塗料であり、外壁塗装に広く使用されています。
以下にウレタン塗料の特性と適用場面を説明します。
ウレタン塗料の特性
ウレタン塗料は、外部の気候条件や紫外線からの影響に強く、長期間にわたって塗膜の劣化が少ない特性を持っています。
また、ウレタン塗料は防水性にも優れており、雨水や湿気による壁の浸透を防ぎます。さらに、光沢や艶のある仕上がりが特徴であり、建物に高級感を与えることができます。
ウレタン塗料の適用場面
ウレタン塗料は、一般的に外壁塗装に使用されます。特に、耐久性や防水性が求められる場所や、光沢や艶のある美しい仕上がりが望まれる場合に適しています。
また、ウレタン塗料は、付帯部用の塗料としても使用されます。木材や金属部品などの素材に塗布することで、耐久性や防水性を向上させることができます。
ただし、ウレタン塗料は耐用年数が8〜10年程度と比較的短いため、長期的な視点での耐久性を求める場合には、シリコン塗料など他の塗料を検討する必要があります。
また、塗装面が変形する可能性がある場合には、適切な下地処理が必要です。
ウレタン塗料は一度塗布すると塗り替えが難しく、また塗料の色も変更できないため、事前のカラーサンプルや塗装範囲の検討を行いましょう。
各種塗料の特性比較
以下は、各種塗料の特性比較を表にまとめたものです。価格が高い塗料から順に並べています。
塗料種類 | 特徴 | 価格 | 耐用年数 |
---|---|---|---|
フッ素塗料 | ・耐久性や耐候性に優れ、耐薬品性や耐摩耗性にも優れる・高価格であるが、長期間塗り替えができない建物に適している | 3,500円~5,000円(㎡単価相場) | 13~15年超 |
シリコン塗料 | ・耐久性や耐候性に優れ、防汚性が高く、耐用年数が長い | 2,500円~3,500円(㎡単価相場) | 10~13年程度 |
ウレタン塗料 | ・木から金属まで塗る場所を選ばない万能選手で、硬さが高く美しい光沢がある | 1,800円~2,500円(㎡単価相場) | 7~10年程度 |
アクリル塗料 | ・発色が良く、低価格・期間限定の建物や塗り替えを何度も行いたい場合に適している | 1,000円~1,500円(㎡単価相場) | 5~8年程度 |
外壁塗装塗料の選び方
外壁塗装をする際には、適切な塗料を選ぶことが重要です。以下では、外壁塗装塗料を選ぶ際のポイントについて解説します。
住宅の状況に合わせた塗料選び
まずは、住宅の状況に合わせた塗料を選ぶことが重要です。建物の種類や使用用途、建物の立地条件、気候条件などによって、塗装に求められる性能が異なります。
例えば、海岸沿いや山間部など、風雨にさらされる場所に建っている場合は、耐久性や耐候性に優れた塗料を選ぶことが必要です。
また、高温多湿な地域に建っている場合は、防かび性に優れた塗料を選ぶことが望ましいでしょう。
塗料の性能を理解する
外壁塗装塗料を選ぶ際には、塗料の性能を理解することが大切です。
一般的に、塗料の性能には、以下のようなものがあります。
性能 | 説明 |
---|---|
耐久性 | 塗装面の劣化を遅らせるために必要な性能 |
耐候性 | 自然環境の影響による劣化を防ぐために必要な性能 |
防水性 | 雨水の侵入を防ぎ、建物内部を守るために必要な性能 |
防汚性 | 汚れが付きにくく、汚れがついても簡単に落とせるために必要な性能 |
断熱性 | 熱の伝導を防ぎ、省エネ効果を高めるために必要な性能 |
これらの性能は、条件に応じて選択する塗料の種類やグレードを決定する上で重要な要素となります。
適切な性能を持った塗料を選ぶことで、建物を長期間保護することができるでしょう。
塗料の性能に関する情報は、塗料メーカーや施工業者から提供される資料や説明を参考にすると良いでしょう。
塗料の価格と品質のバランス
外壁塗装塗料の価格と品質のバランスは、建物の状況や使用用途、建物の立地条件、気候条件などによって異なるため、一概にどちらが優れているとは言えません。
一般的には、高価な塗料ほど耐久性や耐候性が高い傾向があります。しかし、必ずしも高価な塗料が必要というわけではありません。
塗料の価格と品質は、以下の要素による影響を受けます。
- 塗装の工程
- 塗装面積
- 塗装箇所の難易度
- 塗料の種類や品質
- 職人の技量
そのため、外壁塗装を行う際には、専門業者に見積もりを依頼し、価格と品質のバランスを考慮することが大切です。
見積もりには、塗料の種類やグレード、塗料の消費量、工事費用、保証期間などが含まれます。
見積もりを比較し、必要な性能を持った塗料を選び、工事費用を適正な範囲内で抑えることが重要です。
また、業者の技術力や施工実績を確認することも重要です。塗装工事は、塗料選びだけでなく、施工技術によっても耐久性や美観が左右されます。
信頼できる業者を選び、適正な価格で適切な塗装工事を行うことが、長期的なメンテナンスにつながります。
外壁塗装塗料の正しい塗り方
外壁塗装は、塗り方によってはトラブルにつながる可能性があります。ここでは、塗料の正しい塗り方についての解説を行います。
下地調整とは
下地調整とは、塗料を塗る前に、建物の外壁や屋根の表面を適切に調整することを指します。下地調整を怠ると、塗料の密着性が悪くなり、塗膜の剥がれや劣化が早まることがあります。
下地調整には、以下のような作業が含まれます。
洗浄
建物の外壁や屋根の表面には、汚れやカビ、藻などが付着していることがあります。こうした汚れを洗浄することで、塗料の密着性を高めることができます。
洗浄には、高圧洗浄機や手洗いなどが使われます。
サビやコケの除去
建物の外壁や屋根には、サビやコケなどが付着していることがありますが、塗装前に除去することで、塗料の密着性を高めることができます。
除去には、ワイヤーブラシやサンドペーパー、化学薬品などが使われます。
クラック(ひび割れ)の補修
建物の外壁には、クラック(ひび割れ)が生じていることがあります。クラックを補修することで、塗料の密着性を高めることができます。補修には、シーリング材や外壁用パテなどが使われます。
コーキングの打ち替え
外壁と窓枠やドア枠の隙間には、コーキングと呼ばれるシーリング材が使われています。
コーキングが劣化している場合には、打ち替えることで、塗料の密着性を高めることができます。
平滑化
外壁や屋根の表面には、凹凸などがあることがあります。これらの凹凸を平滑化することで、塗料の密着性を高めることができます。
平滑化には、サンドペーパーやパテなどが使われます。
塗料の適正な塗布量
塗料の適正な塗布量とは、塗料を適切に塗布するために必要な量です。塗料を過剰に塗布すると、コストがかかり、乾燥や硬化不良などの問題を引き起こす可能性があります。
一方、塗料を不十分に塗布すると、塗膜の厚さが不均一になり、見た目や性能に問題が生じることがあります。
塗料の適正な塗布量は、塗料メーカーや塗装対象物の種類によって異なります。一般的には、塗料メーカーが推奨する塗布量を参考にすると良いでしょう。
また、塗装対象物の形状や大きさ、塗装方法などによっても、適正な塗布量が異なることがあります。
例えば、平面状の塗装対象物よりも、凹凸のある塗装対象物では、より多くの塗料が必要になる場合があります。
塗料の適正な塗布量を確保するためには、塗料の粘度や塗布方法、塗料の種類などを考慮しながら、塗布量を調整しなければなりません。
塗装作業を行う前には、塗料メーカーの推奨する塗布量や塗布方法を確認し、適正な塗布量を確保するようにしましょう。
塗布工程の重要性
外壁塗装は、建物を雨風や紫外線から守る大切なメンテナンスです。塗装をすることで、建物の美観を保ち、耐久性を高めることができます。
しかし、外壁塗装は塗布工程を守らないと、期待した効果が得られません。
外壁塗装の塗布工程は、下塗り・中塗り・上塗りの3回です。下塗りは、上塗りの塗料が外壁にしっかりと密着するようにする役割があります。
中塗りは、塗膜の厚みを出す役割があります。上塗りは、塗膜の強度を高め、外観を整える役割があります。
塗布工程を守らないと、下塗りが十分に塗られていないため、上塗りの塗料が外壁に密着しません。その結果、塗膜が剥がれたり、ひび割れが発生したりすることがあります。
また、中塗りをしていないと塗膜が薄くなり、耐久性が低下しますし、上塗りをしないと、塗膜の強度が低下し、色あせや退色が早くなります。
そのため、外壁塗装は塗布工程を守ることが大切です。塗布工程を守ることで、建物を雨風や紫外線から守り、美観を保ち、耐久性を高めることができます。
塗装の仕上げ
塗装の仕上げにおいて重要なのは、塗料の均一な塗布です。塗料がムラなく均一に塗布されることで、塗装面にムラが生じることを防ぎ、美しい仕上がりを実現することができます。
また、塗装面が平滑であることも重要です。塗装面に凹凸があると光沢が乱れるため、美しい仕上がりを実現するためには、塗装面を平滑にすることが必要です。
次に、塗装の仕上げにおいては、塗装面の清掃が重要です。塗料の塗布後、塗装面には塵やホコリが付着することがあります。
これらの汚れがあると、塗装面の美しさが損なわれるため、塗装面を清掃することが必要です。清掃方法としては、ブロワーやクリーナーを使用する方法などがあります。
また、塗装の仕上げには、塗装面のコーティングが必要な場合もあります。コーティングには、塗装面を保護する機能があり、耐久性や美観を向上させることができます。
コーティング剤には、ウレタン系、アクリル系、シリコン系などがあり、塗料と同様に適切なものを選択する必要があります。
外壁塗装塗料の耐久性
外壁塗装は、建物を雨風や紫外線から守り、美観を保つために行われます。
しかし、外壁塗装は時間の経過とともに劣化していき、その寿命は塗料の種類や品質、建物の環境条件、施工技術、メンテナンス状況などによって異なります。
以下では、外壁塗装塗料の耐久性について解説します。
各種塗料の耐久年数
外壁塗装に使われる塗料の耐久年数は、以下のように異なります。
塗料の種類 | 耐用年数 |
---|---|
ウレタン塗料 | 6~10年 |
シリコン塗料 | 8~15年 |
フッ素塗料 | 10~20年 |
ラジカル塗料 | 10~16年 |
これらの耐久年数は、あくまでも目安であり、建物の環境条件や施工技術、メンテナンス状況によって異なる場合があります。
また、塗料の種類や品質によっても異なります。塗料を選ぶ際には、建物の環境条件や予算、メンテナンスのしやすさなどを考慮した上で、適切な塗料を選ぶことが重要です。
耐久性を左右する要素
外壁塗装の耐久性に影響を与える要素は以下のようなものがあります。
- 塗料の種類や品質
- 塗装面の状態
- 塗装面の汚れ
- 環境条件
これらの要素を適切に考慮し、外壁塗装を行うことで、より耐久性の高い塗装を実現することができます。
また、塗料の適切な維持管理を行うことで、外壁塗装の寿命を延ばし、建物を長く美しく保てるでしょう。
そのためには定期的なメンテナンスを行い、外壁の汚れやダメージを早期に修復し、必要に応じて再塗装を行うことが重要です。
塗料の維持管理
塗料は、紫外線や雨風、湿気などの自然環境の影響を受けやすく、劣化しやすいです。
塗料の劣化を防ぐためには、塗料を適切に保管し、定期的にメンテナンスを行うことが大切です。
塗料の保管場所は、直射日光が当たらない、風通しの良い場所を選びましょう。また、塗料は冷暗所に保管すると、劣化しにくくなります。
塗料のメンテナンスは、塗料の種類によって異なります。塗料の保管方法やメンテナンス方法については、塗料メーカーの説明書を参考にしましょう。
塗料を適切に保管し、定期的にメンテナンスを行うことで、塗料の劣化を防ぎ、塗料の寿命を延ばすことができます。
外壁塗装塗料の環境影響
外壁塗装は、建物を雨風や紫外線から守る大切なメンテナンスです。しかし、塗料には環境に悪影響を及ぼす可能性もあります。
塗料の主な成分は、樹脂、顔料、溶剤です。樹脂は塗料の耐久性を高める役割を果たし、顔料は塗料に色をつける役割を果たします。溶剤は塗料を液体化させる役割を果たします。
これらの成分のうち、環境に悪影響を及ぼす可能性があるのが溶剤です。溶剤は揮発性の高い物質で、大気中に放出されると大気汚染の原因となります。また、水質汚染や土壌汚染の原因にもなります。
環境に優しい塗料の特徴
環境に優しい塗料は、塗装時に大気中に放出される揮発性有機化合物(VOC)の量が少ないため、環境にやさしい塗料と言えます。
VOCは、大気汚染や健康被害の原因となる物質です。環境に優しい塗料を使用することで、大気汚染や健康被害を防ぐことができます。
環境に優しい塗料は、水性塗料や無溶剤塗料など、さまざまな種類があります。塗料の種類によって、耐久性や塗りやすさ、価格などが異なります。
塗料を選ぶ際には、塗装する場所や用途、予算などを考慮して、最適な塗料を選ぶことが大切です。
環境に優しい塗料は、環境にやさしいだけでなく、人体にも優しい塗料と言えます。塗料に含まれる化学物質が、塗装作業員や住民の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
そこで環境に優しい塗料を使用することで、人への健康被害を防ぐこともできます。
塗料の廃棄方法
塗料は、家庭ゴミとして廃棄することはできません。塗料には、環境に悪影響を及ぼす可能性のある化学物質が含まれているため、適切に廃棄する必要があります。
以下、塗料の廃棄方法を具体的にご紹介します。
密閉容器に入れる
塗料は、密閉容器に入れて廃棄してください。これにより、塗料が漏れて環境に流出するのを防ぐことができます。
塗料の容器が破損している場合は、新しい容器に移し替えてください。
指定された場所に持ち込む
自治体のホームページや清掃センターに問い合わせると、塗料の廃棄方法を確認することができます。
塗料を持ち込む場所は、自治体によって異なりますので、必ず確認してください。
専門業者に依頼して廃棄する
塗料を適切に廃棄するための設備と知識を持った専門業者に破棄を依頼することも可能です。塗料の専門業者は、自治体やインターネットで探せます。
また、自然塗料を処分する際には、自然発火の危険性に注意が必要です。自然塗料は、新聞紙に塗り広げて乾燥させてから、可燃ごみとして処分してください。
また、塗料を使った筆や拭き取った布は、水につけたままビニール袋に入れて処分してください。
環境負荷の低減に向けて
外壁塗装において環境負荷を低減するためには、以下のような取り組みが考えられます。
- 無害化処理の推進
- 環境配慮型塗料の活用
- 塗装面の洗浄
- 施工時のエネルギー消費の削減
これらの取り組みは、日本を含め、世界中で進められている環境保護の取り組みの一環として、ますます重要性が高まっています。
建物の外壁塗装における環境負荷低減の取り組みが進むことで、より持続可能な社会を実現することができます。
塗料メーカーとその特性
塗装に使われる塗料は、様々なメーカーから販売されています。ここでは、主要な塗料メーカーとその特性について紹介します。
主要な塗料メーカー
経験と技術、製品の品質などひとつひとつに特徴がある、日本の主要な塗料メーカーには、以下の10社が挙げられます。
日本ペイント
日本を代表する塗料メーカーで、塗料の品質や技術力に定評があります。主に住宅用の塗料を中心に、建築物用、自動車用、船舶用など幅広い分野に製品を提供しています。
関西ペイント
日本ペイントに次ぐ規模を誇る塗料メーカーです。主に建築用の塗料を中心に、自動車用、船舶用など幅広い分野に製品を提供しています。
特に、色彩技術や施工技術に強みを持ち、それらを活かした製品を多数展開しています。
エスケー化研
特殊塗料や機能性塗料の分野に強みを持つメーカーです。
自動車向けには塗装用のカラーコーティングや、塗装面の保護やメンテナンスに用いるコーティング剤などを展開しています。
アステックペイント
関西ペイントと同様に、建築用や自動車用の塗料を中心に取り扱っています。
独自の技術により、環境に配慮した塗料や、断熱性を持たせた塗料など、多彩な製品を展開しています。
ロックペイント
主に建築用の塗料を中心に取り扱っています。高い耐久性と防汚性能を持つ製品が特徴で、金属用の塗料や木材用の塗料など、幅広い製品を展開しています。
AGCコーテック
旭硝子グループの塗料メーカーで、建築用や自動車用の塗料を中心に取り扱っています。高機能塗料の分野に強みを持ち、防汚性や断熱性能に優れた塗料などを展開しています。
日進産業
主に自動車用の塗料を中心に取り扱っています。独自の技術を活かした、高品質で高機能な塗料が特徴で、カラーのバリエーションも豊富です。
菊水化学工業
主に建築用の塗料を中心に取り扱っています。健康に配慮した塗料や、環境にやさしい塗料など、環境に配慮した製品の開発に積極的です。
プレマテックス
主に自動車用の塗料を中心に取り扱っています。高い耐久性や塗りやすさなど、施工性に優れた製品が特徴です。
ピアレックス・テクノロジーズ
特殊塗料や機能性塗料の分野に強みを持つメーカーです。高機能塗料や防錆塗料、防水塗料などの製品を展開しています。
以上のように、それぞれのメーカーに特色があります。塗装作業を行う際には、塗料メーカーの評価や製品の特性を十分に理解し、適切な塗料を選ぶことが重要です。
各メーカーの特性と評価
以下が、10社の代表的な塗料、特徴、評価をまとめた表になります。
会社名 | 代表的な塗料 | 特徴 | 評価 |
---|---|---|---|
日本ペイント | パーフェクトトップ | ラジカル制御型塗料で、耐久性や色褪せ防止に優れている | 一般住宅の外壁塗装において人気が高い |
関西ペイント | アレスダイナミックトップ | 長い耐用年数を誇るラジカル制御型塗料で、色褪せにも強い | 耐久性に優れ、長期的に見てコストパフォーマンスが高いと評価されている |
エスケー化研 | プレミアムシリコン、クールタイト | コストパフォーマンスに優れたシリコン塗料が多く、断熱塗料の「クールタイト」も人気がある | 価格が安く、施工性が良いと評価されている |
アステックペイント | 低汚染性リファイン | 空気中の汚染物質を吸着する機能を持った壁材塗料 | 環境に配慮した商品で、健康に配慮する人々からの支持が高い |
ロックペイント | シャネツロック | 耐久性が高く、長期間にわたって美しい仕上がりを保てる | 涼しく体感温度が下がるという高い評価を得ている |
AGCコーテック | ルミステージ | 高い耐久性と優れた光沢性を持ち、色合いが長持ちする特殊塗料 | 長期間美観を保ち、メンテナンスの手間が少ないと評価されている |
日進産業 | ガイナ | 特殊なセラミックを高密度に重ね合わせた塗料で、夏は涼しく、冬は暖かい理想の住宅を実現 | 断熱塗料の中では一番実績がありお客様にも進めやすいと人気 |
菊水化学工業 | キクスイガイナ | 塗装する事で冷暖房削減により、優れた省エネ効果が期待できる | 環境に配慮した商品で、健康に配慮する人々からの支持が高い |
プレマテックス | タテイル2 | 最大の特徴はハイドロクリーニング効果で、紫外線を吸収してエネルギーに変換して放出する | 非常に高性能で満足度の高い塗料として人気がある |
ピアレックス・テクノロジーズ | ピュアコート | 光触媒+高耐候フッ素樹脂を高い技術力で独自に配合 | 美しい仕上がりと長期間の保護効果から、さまざまな建築物や施設で使用されている |
外壁塗装のコストと見積り
外壁塗装は、建物の美観や耐久性を維持するために必要な作業ですが、コストが気になってなかなか踏み切れない方もおられることでしょう。
ここでは、日本の現場の相場に合わせた外壁塗装のコストと見積りのポイントを紹介します。
塗料のコスト
外壁塗装工事費用相場は30坪の建物で80万円〜100万円です。
ただし、屋根塗装費用が含まれていないため、「外部塗装工事」として考えると100万円前後が概ねの工事費用相場と言えます。
費用は塗料や業者によって違いがありますので、あくまで参考として考えましょう。
外壁塗装工事費用相場は、材料費、人件費、足場費用などの付帯工事を含めた金額で構成されています。
外壁塗装は、外壁に塗料を塗布するだけの工事ではなく、作業前の準備、塗料を塗布する作業、塗装以外の作業などが該当します。
塗料の種類によっても工事費用が変わります。アクリル塗料とフッ素塗料を比較すると費用に大きな違いがあるため、使用する塗料により外壁塗装費用相場の増減が発生することも覚えておきましょう。
また、外壁塗装人件費は、塗布作業や養生など工事全体において必要な費用であり、外壁塗装工事費用の20%〜30%を占めます。
外壁塗装足場費用も必要になりますが、職人が安全に作業するための必須工事であると理解しておきましょう。
見積もりのポイント
外壁塗装工事の見積もりを安く上げる方法や注意点を以下にまとめます。
施工時期を見極める
外壁塗装には、気温や湿度が影響するため、施工時期を適切に選ぶことが重要です。
梅雨や冬は、天候の不安定さから工期が延びやすく、作業が中断されることもあるため費用が安くなる反面、デメリットもあることを考慮して選ぶことが必要です。
助成金・補助金、火災保険を活用する
自治体からの助成金や補助金を受けられる場合や、火災保険が適用される場合があります。
これらを活用することで、費用を抑えることができます。自治体のホームページや保険証書を確認し、適用条件を把握しましょう。
地元密着・自社施工などの業者を選ぶ
地元密着の業者や自社施工の業者に依頼すると、大手リフォーム会社と比べて安くなる可能性があります。
大手リフォーム会社は下請け・孫請け業者に作業を委託するため、紹介料などの中間マージンが発生し、費用が高くなりがちです。
複数の塗装業者の見積もりを比較する
複数の業者に見積もりを依頼し、それらを比較することで、費用を抑えることができます。
ただし、見積もりの総額だけでなく、建物の状況やご希望の工事内容によっては、補助金や火災保険に詳しい業者に依頼することで、トータルコストが抑えられることもあります。
まとめ
この記事では、外壁塗装に適した塗料の選び方や注意点について解説しました。以下に、最適な塗料の選び方と塗料選びの注意点をまとめます。
最適な塗料の選び方
最適な外壁塗装塗料の選び方のポイントは以下の3つです。
- 住宅の状況に合わせた塗料選び
- 塗料の性能を理解する
- 塗料の価格と品質のバランス
外壁塗料を選ぶ際には、これらの点を総合的に考慮して決定することが大切です。塗料選びは専門的な知識が必要なため、塗装業者に相談することをおすすめします。
塗料選びの注意点
以下は塗料選びで注意すべき3つのポイントです。
- 塗料の環境への影響
- 塗料の廃棄方法
- 各種塗料の耐久年数
塗料選びは、建物の美観や耐久性だけでなく、環境への影響や廃棄方法にも考慮して行うことが大切です。
外壁や屋根の塗装は重要な工事であり、費用もかかります。そのため、時間をかけて複数の業者を比較し、理想的な外壁リフォームを実現しましょう。