「大規模修繕で失敗したくない」
「大規模修繕でのトラブルを避ける方法を知りたい」
こんなお悩みはありませんか?
マンションの大規模修繕を行う際には、「修繕積立金が足りない」「騒音に対するクレームがある」といったさまざまなトラブルが起こりがちです。
そこで今回は大規模修繕で起こりがちなトラブルと、その対策についてご紹介していきます。
事前にどんなトラブルが起こるのかを知っておけば、いざと言う時に対策をとりやすくなりますよ。
目次
大規模修繕の主なトラブル原因
大規模修繕の主なトラブル原因は3つ。
マンション住民とのトラブル
マンション住民とのトラブルとは、大規模修繕に伴うマンション住民の生活への影響を巡って発生するトラブルを指します。
例えば、大規模修繕に伴う騒音や建設跡地による不快な環境、他の住民への影響などがあげられます。
また、修繕に伴い、住民の居住環境が変化する場合もあります。
近隣住民とのトラブル
大規模な修繕作業では、近隣の住民に多大な影響を及ぼす可能性があります。
例えば、建設作業に伴う建物の破壊や土砂の運搬などで環境汚染が発生する可能性があります。
さらに、作業に伴う騒音や建築物による景観への影響、不快な臭いなどの空気汚染なども懸念されます。
このような問題を解決するために、大規模修繕を行う際には、近隣住民との協議を行い、公共施設などにおいて事前に評価を行うなどの対策を行う必要があります。
業者とのトラブル
大規模修繕工事では、業者とのトラブルが頻繁に発生しています。
修繕工事の品質が悪かったり、規定の日時に工事が完了しなかったりといった問題がある場合、業者とのトラブルに発展する可能性があります。
また、利用者側でのミスや不注意な行動などによっても、業者とのトラブルが生じる場合があります。
したがって、大規模修繕工事を行う際は、きちんと業者を選定し、契約内容を確認し、効率的かつ迅速な修繕工事をしてもらうために、業者とのコミュニケーションをしっかりと行うことが重要です。
また、工事を行ってもらう場合は、適切な保証書を取得し、業者が責任を負うことを確認する必要があります。
大規模修繕でよくあるトラブル原因と対策11選
ここでは大規模修繕でよくあるトラブルについて、「施工前」「施工中」「施工後」の3種類に分けて見ていきます。
トラブルへの対策についても触れているので、ぜひ参考にしてみてください。
施工前のトラブル
まずは施工前のトラブルについて見ていきましょう。
1.修繕積立金が足りない
大規模修繕のための、修繕積立金が足りないケースは多く見られます。
少し足りない程度なら、マンション住人に事情を説明して追加で徴収することで解決できるでしょう。
しかし、かなりの金額が不足している場合は、別の方法で大規模修繕の費用をまかなう必要があります。
- 住宅金融支援などから融資を受ける
- マンション住人から臨時で一時金を徴収する
- 工事内容を見直す
資金の借り入れは住宅金融支援だけでなく、民間の金融機関からも可能です。
ただし融資条件があるので、事前にしっかりと申し込み資格などを確認しておきましょう。
一時金を徴収するには、まずはマンション住人からの理解を得る必要があります。
住民説明会などを実施し、なぜ追加で費用が必要なのか詳しい説明が必要です。
費用を節約した場合は、「工事内容を必要最低限にして、緊急性の低い工事は次回の大規模修繕に延期する」といった方法が有効です。
2.修繕委員会の人数が少なすぎる・多すぎる
修繕委員会※の人数が多すぎても少なすぎてもいけません。
多すぎるとなかなか意見がまとまらず、計画が滞る原因になります。
少なすぎると少人数で計画を立てなければならず、実行に無理が出てきます。
コンサルタントに丸投げすることになり、必要以上のコンサルタント費用が発生してしまいます。
修繕委員会の人数は5~10人程度が良いでしょう。
また公平性を保つために、幅広い年齢や性別のメンバーを集めるのがおすすめです。
※修繕委員会…大規模修繕を取り仕切る組織のこと。マンション住人で構成される
施工中のトラブル
施工中に起こりがちなトラブルには、以下のようなものがあります。
3.バルコニーが施工できない
バルコニーは、「個人使用ができる共有部分」という特殊な箇所です。
バルコニーが工事範囲の場合、エアコンの室外機以外はすべてマンション住人側で撤去しておかなければなりません。
住人がバルコニーに私物を置いておくと、施工ができない場合があります。
事前に工事があることをマンション住人に伝えておくと安心ですね。
4.空き巣による被害が出た
大規模修繕では足場を設置するので、その足場を使って空き巣が住居内に入りやすくなります。
そこで以下のような防犯対策をとることが必要です。
- マンション住人や周辺住民に注意を促す
- 防犯カメラやセンサーライトを設置する
- 作業員はカラーベストや腕章を着ける
5.プライバシーが侵害される
作業員が足場を使って作業する際に、外から室内が見える可能性があります。
工事をしている時間帯は「カーテンを閉めましょう」とマンション住人に説明されますが、必ずしも全ての家でカーテンを閉めてくれるとは限りません。
ついカーテンを閉めるのを忘れてしまうこともありますよね。
「カーテンを開けたら作業員がいて驚いた」といったトラブルも考えられるので、事前にきちんとマンション住人や周辺住民に連絡をすることが大切です。
もちろん作業員にも、カーテンが開いていても室内を見ないように注意喚起することも必要です。
マンション住人や周辺住民が感じるストレスを最小限にするために、しっかりとプライバシーに配慮しましょう。
6.騒音や臭いなどに対するクレームがある
施工中の騒音や臭い、振動、ホコリなどが原因でマンション住人からクレームが入るケースも多いです。
このようなクレームを減らすには、事前に工事内容についてしっかりとマンション住人に説明しておくことが大切です。
工事が行われる箇所ごとに、「どんな工事内容か」「何時~何時まで行われるか」「どこにホコリが発生するか」といったことも細かく知らせましょう。
騒音や臭いなどのトラブルは、近隣住民との間でも起こりえます。
近隣住民にも、工事内容や時間帯などをしっかりと伝えておく必要があります。
「施工会社のせいだから管理組合は関係ない」といった態度を取ると余計にクレームが増えてしまうので、丁寧な対応も大切ですよ。
7.工事の遅れが発生した
予定していた期間内に工事が終わらない場合もあります。
「悪天候が続いた」というのであれば数日の遅れ程度で済みますが、地震などの災害が長期で遅れが発生することも考えられます。
また追加工事が発生したり、途中で新たな修繕箇所が見つかった場合も工期が遅れるでしょう。
工期が遅れると「洗濯物が干せない」といったマンション住人からのクレームも増えるので、「なぜ工期が遅れているのか」という丁寧な説明も必要です。
8.駐車場が利用できない
施工内容によっては、駐車場に足場を設置することが必要になります。
こんな場合は、一時的にマンション住人の車が置ける、代わりの駐車場を施工会社に探してもらいましょう。
9.施工会社が倒産した
まれにではありますが、大規模修繕中に施工会社が倒産する事例もあります。
施工会社が倒産すると工事が中断してしまいます。
こんな事態が起こってしまったら、途中までの工事費用を清算し、新たに施工会社を探さなくてはいけません。
施工会社の倒産による工事の中断を避けるには、施工会社に経営状態が分かるような書類を事前に提出してもらい、「この会社は大丈夫だろうか」とチェックするのが有効です。
10.質の悪い施工会社を選んでしまった
施工会社のレベルが低いと、施工が遅れたり施工ミスが起こったりすることがあります。
なかには、故意に工期を遅らせて必要以上の人件費を得ようという悪質業者も存在します。
さらに必要以上の工事を行い、追加請求されるケースもあるので注意が必要です。(勝手な追加工事には費用を支払う必要はない)
こうしたトラブルを避けるためには、施工会社選びをコンサルタントに任せきりにしないことが大切です。
最近マンションの大規模修繕を行ったオーナーを施工会社に紹介してもらい、「施工品質は高いか」と実際に評判を訊いてみるのがおすすめです。
施工後のトラブル
大規模修繕では、施工後にもトラブルが発生しがちです。
トラブルには、以下のようなものがあります。
11.施工後数年で漏水が発生した
大規模修繕を行ってから、わずか数年後に漏水するケースもあります。
これはコンクリートのひび割れを補修した部分に、再度ひび割れが発生したことが原因と考えられます。
完全に施工会社のミスなので、施工会社に対応してもらいましょう。
また記事の後半で解説しますが、瑕疵(かし)保険に入っていれば、修繕費用の80%を保証してもらえますよ。
大規模修繕のトラブルを未然に防ぐには
大規模修繕時のトラブルを未然に防ぐには、以下のことに気を付けましょう。
コンサルタントに丸投げしない
大規模修繕をコンサルタントに丸投げしてはいけません。
コンサルタントと施工会社が裏で談合を行っているケースがあるからです。
意図的に工事費用を吊り上げ、コンサルタントが施工会社からバックマージンを得ている可能性があります。
コンサルタントと施工会社の談合を避けるには、「複数の施工会社に見積もりを出してもらい、それぞれを比較検討して決める」という方法がおすすめです。
見積もりの内容だけでなく、施工会社の実績やアフターサービスなどについても確認すると良いでしょう。
専門家に相談する
弁護士や一級建築士、マンション管理士などの専門家を顧問として招くことも、トラブル回避のために有効です。
「外部顧問を招いたことで業者の施工ミスが見つかり、再補修工事をしてもらえた」というケースも数多くあります
瑕疵(かし)保険に加入している施工会社に依頼する
瑕疵保険に加入している施工会社に依頼することも大切です。
瑕疵保険とは、大規模修繕の検査や保証がセットになった保険のこと。
万が一施工不良があった場合は、施工会社に保険金が支払われ、その保険金で施工不良の場所を補修してもらえます。
また施工会社が倒産した場合は、マンション側が保険金を受け取れます。
保険会社によって瑕疵保険に種類があるので、事前に保険内容をしっかりとチェックしておくと安心です。
まとめ
大規模修繕のトラブルを回避するには、優良な施工会社を選ぶことが大切です。
またマンション住人や周辺住民とのコミュニケーションをしっかり取ることも、大規模修繕の成功につながります。
万が一、大規模修繕でトラブルが起こった場合は、「公益財団法人マンション管理センター」に相談するのもおすすめですよ。
工事内容やアフターサービスがしっかりした施工会社を選んで、後悔のない大規模修繕をぜひ実現してみてください。