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スレート屋根の防水工事・雨漏りの原因・修理方法を解説

スレート屋根の防水工事を知りたい人

スレート屋根の防水工事を知りたい人

スレート屋根の防水工事とは
スレートに防水工事は必要?
スレートの防水工事にかかる費用はいくら?

スレート屋根は日本国内でも多く用いられている屋根の一つです。

ご自宅がスレート屋根という方も多いのではないでしょうか。

ここでは、そんなスレート屋根の特徴や寿命、防水工事などのメンテナンスについて解説しています。

スレート屋根のメンテナンスについて知りたい方、雨漏りでお困りの方に役立つページとなっています。

ぜひ最後までご覧ください。

スレート屋根とは

スレート屋根とは、スレート瓦を使用した屋根の総称のことです。

  • スレート
  • コロニアル
  • カラーベスト

以上のように呼ばれる屋根材も実はメーカーが付けている商品名で、全てがスレート屋根に分類されます。

スレート瓦は、ベースとなるセメントに繊維を混ぜることで作られた瓦です。

色や形にバリエーションがあるため、個性的な建物の雰囲気を演出できると人気の屋根材です。

スレート屋根の種類

大きく分けると天然スレートと化粧スレートの2種類に分類されます。

天然スレートは天然の岩石を使用して作られていて、主にヨーロッパなどの大型建築で使用されています。

非常に高価なため、日本国内の住宅に使用されることは滅多にありません。

日本国内で使用されているものは化粧スレートです。

セメントと繊維を主な原料としていて、種類も多く費用も安いため多くの住宅で使用されています。

前述したスレート・コロニアル・カラーベストはこの化粧スレートに分類されます。

化粧スレートには、

  • 割れやすい
  • 水分を吸収しやすい性質

というデメリットがあります。このデメリットを改善するためには、防水工事による塗膜の形成が重要です。

スレート瓦と和瓦の違い

スレート瓦と和瓦の大きな違いは、重量にあります。

和瓦は屋根材の中でも非常に重い素材であり、1㎡あたり約50㎏の重さがあります。

一方でスレート瓦の重量は、1㎡あたり約20㎏ほどです。

同じ面積の屋根でも、和瓦とスレート瓦ではおよそ2.5倍も重量に差が出ます。

屋根が重ければ重いほど地震の際に建物が大きく揺れてしまうため、スレート瓦は和瓦よりも耐震性に優れていると言われています。

また、和瓦は波打った形状が特徴的ですが、スレート瓦は平らで板のような形状をしていることが特徴です。

スレート屋根の防水工事とは

スレート屋根の防水工事には、防水塗料を使用した塗装工事が効果的です。

スレート屋根に対して防水塗料を使用した塗装工事を行うことで、以下のような効果が期待できます。

  • 撥水性の向上
  • 建物の美観を保つ
  • 屋根材の保護

防水塗料で塗装した屋根の表面は撥水性が向上し、スレート屋根本体が水分を吸収しにくくなるため、防水性能を上げるだけではなく屋根材の保護にもつながります。

また、塗装することで建物の美観を保つこともできます。

雨や風の影響を強く受ける屋根は、10年も経てばどうしても色褪せや苔の発生などで汚れた印象を与えてしまうものです。

塗装を行うことで屋根が綺麗に見えるようになるので、建物全体の美観を保つことにもつながります。

スレート屋根の劣化症状

屋根が劣化するの、と思われるかもしれませんが、屋根も経年劣化します。

屋根は常に雨や風、紫外線などのダメージを受けているため、徐々に耐久性が衰えていきます。

屋根に現れる劣化症状は以下のとおりです。

  • 屋根材の亀裂・欠け
  • 色褪せ
  • 屋根材の反り
  • 苔の繁殖

上記の劣化症状の出現は、スレート屋根の屋根材を保護する資材の寿命がきていることを意味しています。

スレート屋根に劣化症状が現れた際は早めに対処するのがおすすめです。雨漏り防止や屋根材の長持ちに繋がります。

スレート屋根防水工事のタイミング

スレート屋根の防水塗装は10年を目安に行うとされています。

ただ使われる塗料によって耐用年数が違うため、次回の塗装については状況をみて判断することになります。

スレート屋根自体の寿命がのびるわけではありませんが、定期的な屋根塗装は屋根の保護や撥水性、美観を保つためには非常に効果的です。

塗料の主な耐用年数は下記が目安となります。

塗料の種類耐久年数
ウレタン約4〜6年
シリコン約5〜7年
フッ素約7〜10年
無機約10〜15年

スレート屋根防水工事の注意点

スレート屋根の中には塗装工事ができないものがあります。

塗装工事ができないスレート屋根は、アスベストの規制が強まった2000年前後に販売された一部の製品です。

2000年前後に販売された一部のスレート屋根は割れや層間剥離が激しため、塗装前の高圧洗浄ができなく、塗装ができたとしても屋根材自体の寿命が短いので、実施した塗装工事が無意味になります。

そのため、上記の特徴を持つスレート屋根に防水工事を行う場合は、塗装工事ではなく、重ね葺きや葺き替え工事などの改修工事がおすすめです。

重ね葺きや葺き替えは塗装工事よりも費用がかかってしまいますが、長く住むのであれば、費用対効果は充分に得られます。

プロではない限り、スレート屋根の製造年を見分けるのは困難です。誤った工事方法を選んでしまうと再工事になりかねないので、防水工事を検討している際は専門の業者と相談して工事方法を決めるのが良いでしょう。

防水塗装工事の費用相場

防水塗装工事にかかる費用は使用される塗料によって変わります。

スレート屋根に使用されることも多いウレタン塗料で、一般的な一戸建て住宅のスレート屋根を塗装した場合、40万円〜60万円程度かかると考えておきましょう。

屋根塗装には足場設置も必要となるため、外壁塗装の時期と合わせて行うことで、費用を抑えられる可能性があります。

屋根防水塗装を検討する場合には、家全体のメンテナンスのタイミング等とあわせて検討するといいでしょう。

塗料別の塗料の費用目安は下記の通りです。

これ以外に足場設置費用や、工事費用などがかかると考えてください。

塗料の種類費用目安
ウレタン25,000~70,000円
シリコン30,000~80,000円
フッ素80,000~160,000円
無機100,000~240,000円

スレート屋根における防水塗装工事の施工手順

ここでは、スレート屋根における防水塗装工事の施工手順を紹介していきます。

スレート屋根への防水塗装工事を検討している方は、どのように工事が行われていくかがわかるので参考にしてみてくださいね。

高圧洗浄

スレート屋根には、蓄積したほこりや苔・藻など、さまざまな汚れが付着しています。

防水塗装工事を行う前に、まずは高圧洗浄機を使用して屋根を清掃し、表面を綺麗な状態にします。

高圧洗浄によって屋根の表面を綺麗にすることで、防水塗装をより長く保つことができるでしょう。

下地調整

下地調整の工程では、屋根に発生したひび割れや損傷の補修を行っていきます。

スレート屋根はとくにひび割れや損傷が発生しやすい屋根材であるため、塗装前に補修を行いしっかりと下地を整えることが重要です。

またサビや汚れが付着していた際はケレン清掃を行います。

下塗り

スレート屋根の防水塗料は、下塗り・中塗り・上塗りと重ね塗りしていくことが特徴です。

下塗りでは、スレート屋根の表面と塗料がよく密着するようにシーラーを塗布します。

板金部分へのサビ止めの塗布も、この下塗りの工程で行います。

中塗り

中塗りでは、防水塗料を全体に塗布していきます。

基本的にはローラーを使用し、細かい部分にはハケを使用して丁寧に塗装します。

上塗り

上塗りも中塗りと同様に、ローラーを使用して全体をしっかりと塗装します。

ここでも細かい部分にはハケを使用し、スレート屋根の全ての部分に塗り残しなく塗装していくことがポイントです。

縁切り

塗装した防水塗料がしっかりと乾燥した翌日以降に、縁切りを行います。

縁切りとは、スレート屋根の上下の重なり部分で塗料が密着している箇所を、カッターや皮スキなどの道具を使用してカットする作業です。

スレート屋根の塗装後に縁切りを行わないと、継ぎ目からスレートの裏側に侵入した雨水が重なり目で溜まり、雨漏りの原因となってしまいます。

細かい作業ですが、防水性能を上げるだけではなくスレート屋根を長持ちさせるためにも欠かせない、非常に重要な工程です。

現在ではタスペーサーという製品を使って縁切りが行われることもあります。

タスペーサーを使用する場合、下塗り後に屋根材同士の重なり部分にタスペーサーを差し込み、中塗りの前に隙間を確保します。

完成

塗料が乾いたら工事は完了です。

スレート屋根の雨漏りの原因

スレート屋根で雨漏りが起こる原因は以下のとおりです。

  • 塗装部分のひび割れ・浮き
  • 釘のずれ・サビ
  • 棟板金の破損
  • スレートの隙間が埋まっている
  • コーキングの劣化
  • 施工不良

上記の項目が雨漏りの原因になるのか、以下で詳しく解説していきます。

塗装部分のひび割れ・浮き

スレート屋根は表面に塗装を施すことにより、防水効果を高めています。

しかし塗装は月日の経過に伴い、徐々に劣化し防水効果は下がってしまいます。

それを放置してしまうと、スレート屋根に水が染み込み膨張します。

膨張と収縮を繰り返すこと、スレート屋根にひび割れや浮きが発生し、雨水が溜まりやすい状態となります。

釘のずれ・サビ

スレート屋根は釘で固定されているのが一般的です。

月日が経過する中で、釘が錆びたり、緩んだりすることがあります。

基本的には釘部分は他のスレートが重なっていますが、何らかの原因で直接雨にさらされた場合などには錆び発生しやすくなります。

また釘は下地にまで穴を開けているため、緩んで抜けてしまった場合には下地まで水が侵入する可能性があり、注意が必要です。

棟板金の破損・サビ

スレート屋根の頭頂部を覆っているのが棟板金です。

雨や紫外線の影響を受けやすく、不具合を起こしやすい部分です。

風の影響で釘が緩み、剥がれてしまったり、破損したりすると雨水が染み込む原因となります。

また、サビの広がりが進行し、棟板金に穴が空いてしまうことも雨漏りが起こる原因の一つです。

谷部の破損

屋根と屋根の接続面で、水が大量に流れ込むため劣化しやすい場所です。

ゴミなども入りやすく水が堰き止められてしまうケースがあり、雨漏りが発生することがあります。

スレートの隙間が埋まっている

スレート屋根は構造上、雨が屋根材の下まで流れ込みます。

そのため屋根材と屋根材の間には隙間があり、排水されるように設計されています。

しかし泥やゴミなどが隙間に挟まることにより排水が阻害されると、水が溜まり雨漏りを引き起こすことがあります。

コーキングの劣化

水の侵入を防ぎたい場所には、コーキングが施されています。

コーキングは時間の経過とともに、硬くなったり収縮したりすることでひび割れてしまうことが少なくありません。

ひび割れ部分から雨水が侵入し、雨漏りの原因となります。

施工不良

スレート屋根は比較的施工が簡単なため、取り扱う業者が多いのが特徴です。

多くの業者は十分な知識や技術を持ち合わせていますが、中には知識不足な業者が存在します。

見た目に問題がなくても、屋根の勾配設計がうまくいかなかったり、板金の不足していたりするケースがあり、結果として雨漏りを引き起こすことがあります。

スレート屋根の雨漏りを放置した場合のリスク

スレート屋根は屋根の下に防水シート、防水シートの下に野地板、さらにその下に垂木という構造になっています。

スレート屋根の雨漏りを放置すると、野地板に水が染み込みカビが生えたり、ブヨブヨになってしまいます。

そういう状態になってしまうと、屋根全体を葺き替える以外、修繕の方法はありません。

雨漏りの影響が野地板だけではなく垂木にまで及んでしまうと、さらに大掛かりな修繕工事が必要となります。

葺き替えは古い野地板の上に、新たな野地板を貼り付けて行いますが、垂木までダメージが及んでいる場合には垂木の修繕が追加で必要となるからです。

屋根の全面葺き替えには200万円〜300円ほどかかるのが一般的で、それだけでもかなり高額な費用がかかるといえるでしょう。

雨漏りが発生した場合には、野地板や垂木がダメージを受けないよう、早急に修繕工事を行うことが必要です。

スレート屋根雨漏りの修繕工事

スレート屋根から雨漏りが発生した場合には、早急な修繕工事が必要です。

雨漏りを放置していると、屋根だけではなく建物全体の寿命を縮めてしまう可能性もあるため危険です。

ここでは、スレート屋根の雨漏りの修繕工事を3つ紹介します。

葺き替え

屋根の葺き替え工事は、既存屋根を撤去して新しい屋根を作る大規模な屋根のリフォーム工事です。

すでに雨漏りしている場合は、屋根材に重大な劣化症状が見られる場合が多いです。

補修では対応できない場合には、葺き替え工事が必要となるでしょう。

葺き替え工事を行う場合は、既存のスレート屋根は全て撤去してから新しい屋根を作ることになります。

屋根の修繕工事の中では最も大規模な工事となるため、費用も高額です。

重ね葺き(カバー工法)

重ね葺き(カバー工法)とは、既存の屋根の上から新しい屋根材を設置する工事です。

和瓦などの屋根材を使用している場合にはそもそも重ね葺きが行えませんが、

  • アスファルトシングル
  • コロニアル屋根

このような屋根材の場合は、基本的に重ね葺きが行えます。

スレート瓦の中でも、セキスイかわらUという材料を使っている場合は、屋根材が重ね葺きの負担に耐えられないため施工することができません。

既存屋根材が重ね葺きに対応していても、屋根の劣化が激しければ施工が難しい場合もあります。

板金交換

小規模な補修としては、板金のみの交換を行うこともあります。

板金が劣化していれば、骨組みの木材である垂木の交換も行います。

板金の交換のみ行うか屋根全体の補修を行うかは、専門業者に屋根全体の劣化状態をチェックして判断してもらいましょう。

スレート屋根の防水・改修工事実績|一部

【個人様】東京都荒川区H様邸|重ね葺き(カバー工法)

【個人様】神奈川県相模原市Vマンション|防水塗装工事

【個人オーナー様】東京都調布市コーポS|防水塗装工事

【企業様】東京都豊島区Rアパート|防水塗装工事

【個人様】神奈川県川崎市T様邸|防水塗装工事

まとめ

スレート屋根はとても人気で、日本でも多くの建物で採用されています。

  • スレート瓦と和瓦では、重量に倍以上の差がある
  • 防水塗装工事には、防水性能の向上はもちろん建物の美観を保つ効果もある
  • スレート屋根の全面葺き替え工事には200〜300万円ほどかかる
  • スレート屋根の防水塗装は10年に一度を目安に定期的に行う

雨漏りが発生してしまった場合には、絶対に放置せずに早急に補修工事を行ってください。

今回の記事が、スレート屋根のメンテナンスの参考となれば幸いです。

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